寒いほどお得なカレー(Jan. 26, 2023) | 微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

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八ヶ岳南麓、北杜市長坂町小荒間に在住。ときどき仕事をしながら、読書、音楽鑑賞、カメラ撮影、オートバイツーリングなどの趣味を楽しんでいます。

 8時半の気温氷点下4度。冷たい八ヶ岳おろし、(又)三郎が吹いている。昨日よりも5度高い。陽光がまぶしい。春の光だ。

 午前中はルクレティウス『事物の本性について』の第三巻を読む。要約するには繰り返し何度も読み返す必要があるが、原子論で人の死を詩的に論じている巻だ。

 昨年はコロナで中止になった「寒いほどお得フェア」が復活したという。ネットで調べると清里駅前の寒暖計が午前10時の段階で氷点下5度ならば、フェアに加盟している店のメニューが30%引きになるとある。以前は50%だったのでがっかりしたが、まだコロナは終息しておらず、諸物価高騰の折仕方ないだろう。念のためにフェアの事務局に電話で問い合わせると今日は20%引きだという。わが家よりも標高が高いので30%を期待したが日が昇るにつれて気温も上がったようだ。

 「寒いほどお得フェア」の話をしていたら昼食作る気がなくなったわ、とフェルトで猫を作っていたK子がいう。それではと昼過ぎに出かけることにした。食べるのは清里駅萌野村ロックのカレー一択である。道路にはもう雪の痕跡はほとんど見られない。車もやけに少ない。

 

 

 一昨年、いや、その1年前だったか、冷え込んだ日で50%引きになったときには駐車場は満杯で空くのを待たなければならなかったし、店の入口には行列ができており待たされたが、今日の駐車場は充分空きがあり、待たされることなく入った店内も八分の入りだった。それでも閑散として人影も車の通行も少ない清里を考えるとよく客が入っているといえるだろう。

 

 

 定番のカレーを注文する。数分で料理は運ばれてくる。隣の席の年配夫婦はここぞとばかりカレーだけでなく他の料理も頼んでいた。カレーの味は変わらない。K子はもう少し辛くてもいいわねというが、子供でも食べられる万人向き辛さなのだ。腹一杯になった。帰途、精肉店のワタナベで今日から鶏もも肉の特売をするというので立ち寄る。確かに安かった。

 

 

 昨夜の睡眠時間は4時間ほどだったので運転しながら生アクビばかりが出た。居間のソファにすわるとすぐ瞼が重くなる。風邪引くから眠るならちゃんと寝なさいとK子が炬燵の脇に寝場所を用意してくれたので横になる。小一時間眠る。

 『井伏鱒二自選全集 第11巻』は残すところ数十ページだったので夕食までに読み切ることにした。「風貌・姿勢」は中島健蔵が撮影した文人たちのポートレートに井伏鱒二が文をつけたものだが、井伏鱒二の文章が見事なポートレートになっている。

 夕食後はルキノ・ヴィスコンティ監督アラン・ドロン主演『若者のすべて』を観る。3時間ほどの長さの映画だが退屈しなかった。イタリア南部から貧しい一家、母親と4人の息子が長男のいるミラノにやってくる。彼らの住むアパートを見ると、須賀敦子さんがエッセイで描いたイタリア人義母の住むアパートが思い出された。息子たちは、まだ子供の末っ子を除いて、みな働きに出る。次男はボクシングの才能を見込まれ輝かしい将来が約束されたかに見えたが、1人の女、娼婦に魅せられてしまったことから悲劇へと物語は進んでいく。アラン・ドロンはヴィスコンティのお稚児さんだったと何かで読んだ記憶があるが、若々しいドロンをこれでもかというくらい美しく撮っている。モノクロの美しく力強い映画だ。