ごくごくめずらしい偶然(Nov.27, 2022 ) | 微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

八ヶ岳南麓、北杜市長坂町小荒間に在住。ときどき仕事をしながら、読書、音楽鑑賞、カメラ撮影、オートバイツーリングなどの趣味を楽しんでいます。

 曇天。灰色の朝。気温は9度あるが体感温度は低い。

 野鳥の餌台の上にヒマワリに種をのせた手を伸ばしてじっとしていたら、ヤマガラがやってきて突いた。手のひらにのってくれるのも近いだろう

 3日前にアクションカメラの動体検知機能を使って撮影した動画を簡単に編集合成してYouTubeにアップする。テレビの大画面で観るーーといってもわが家のテレビは小さいがーー野鳥たち、ヤマガラ、シジュウカラ、ゴジュウカラの表情が面白い。

https://youtu.be/lLeHviMU3LI

 午後小淵沢のセルクルに注文していた全粒粉入り山型イギリスパンをとりに行く。他に客もいなかったので店主としばしおしゃべり。3日前にK子がアルバイト先で知り合ったMさんにお呼ばれし、送っていったぼくも招かれMさんのご主人であるイギリス人のJさんとおしゃべりしていたら、Jさんんとセルクルの店主がかつて同じ職場の同僚だったとわかったので、そんなことを話した。Jさん曰く、パンを買おうとたまたま入ったらかつての同僚がいたのでびっくりしたのだという。

 

 

 偶然かつての知り合いと出会うことはめずらしいことではない。ぼく自身も経験がある。イギリス旅行に行ったとき、ロンドンの地下鉄に乗ったら目の前の席に教育実習の時に世話になった中学校の先生がすわっていた。2度目のイギリス旅行はK子と一緒だったが、ロンドンの街を歩いていたら、大学で英語を教えてくれた先生にばったり出会した。ある夏、東北ツーリングで山形県の道の駅で休憩していたらぼくの勤めていた職場に非常勤で来てくれた人と出会った。

 しかしほんとうにめずらしい出会いはK子の場合だ。ある夏、知り合いの別荘に招待されてK子と行くと、他にも2人の女性が招待されており旦那を同伴していたが、女性の一人はK子と同じ高校の同級生だとわかり、もう一人の女性の旦那はK子の小学校の同級生だった。偶然に出会うことはあっても、この例はほんとうにめずらしいのではないか。

 

 

 帰宅後近所を少し歩く。Iおばあさんの家の前に軽トラがとまり、老夫婦が白菜を荷台からおろすと、Iおばあさんと何かおしゃべりしながら白菜を何個か玄関まで運んでいた。ぼくが通りかかると、Iおばあさんはにこやかに、しかし誰だったかなあという表情をしてぼくを見つめる。頭を下げて挨拶して、近くの櫟木の巨木を撮影に行く。葉はだいぶ散ったものの、残っている薄いオレンジ色の葉がきれいだったからだ。何枚か写真を撮りもどると、Iおばあさんに声をかけられる。名前を忘れたけど、どこの人だったかなあというので、名前を名のり、すぐそこの2軒目ですよと教える。もう何度同じことがあったろう。友だちが持ってきてくれたけんどと、手に持っていたブロッコリーを差し出す。白菜もと、玄関先におかれた白菜をとりに行く。何度教えても、名前も住まいも忘れてしまう。しかし、K子やぼくを見ると、かつて野菜がたくさん取れたとお裾分けしてくれた親切な気持ちを思い出すらしい。Iおばあさんの心の中にある暖かいもの伝わってきた。

 

 

 夕食後フランスのアニエス・ヴァルダ監督のドキュメンタリー映画『タゲール街の人々』を観る。ヴァルダ監督の『幸福』はもっとも好きな映画の一つだが、パリの普通の通りで小さな商店を構えて生きる人々の生活をとらえたこの映画も傑作だった。タゲールの写真を見るような懐かしさを覚える。香水屋の老夫婦。奥さんは認知症だろう。狭い店の中で立ったり座ったり、店の外を落ち着かなげに見る哀しげな表情が映画の大切なことを無言で語っているようだ。

 

 タゲール風写真