夢でハーイと返事する。(Oct. 5, 2022) | 微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

八ヶ岳南麓、北杜市長坂町小荒間に在住。ときどき仕事をしながら、読書、音楽鑑賞、カメラ撮影、オートバイツーリングなどの趣味を楽しんでいます。

 ときどき寝ぼけて目を覚ます事がある。きっと何か物音がして、それが、・・起きなさい、というような声に聞こえ、ハーイと返事をするのだろう。K子に笑われ揶揄われるのだが、声は母の声に聞こえ、夜更かしばかりして朝起きられなかった学生時代が何か夢に蘇るのだろう。

 今朝は玄関の呼び鈴が鳴り、出てェというK子の声で目覚めた。若い頃のように飛び起きて、2階から階段を駆け下りて、というわけにはいかない。ベッドから上半身を起こすと、ベッドから足を下ろす。ベッドにすわった状態になるが、膝のことが不安でなかなか立ち上がれない。玄関のドアの前で人が待っているのではないか。しかし、このままでは留守だと思い帰ってしまうのではないか。2階の窓から声をかけようと、勇を鼓して(大袈裟ではない)立ち上がり、窓から見下ろすが、宅急便であればトラックがあるはずだがない。玄関は引っ込んでいるので見えないが、徒歩で来た人がいるのかも知れない。宅配のトラックがあれば、今、行きます、と声をかけるのだが、誰が来ているかわからないので声はかけずに階段を下りる。居間を通り抜けるときに、階下の部屋をのぞくとK子の寝床は空だ。ああ、もうイチゴ摘みアルバイトに行ったのだ。だとすればあの出てェという声は何だったのか。一応玄関に出てみたが、もちろん誰もいなかった。

 

 

 7時、曇天、気温16度。風がそよそよ木の枝をゆすっている。8時、空が明るくなる。青空が見える。雲が東にゆっくり移動している。しかし、昼過ぎアルバイトから帰ってきたK子が、寒い、雨が降り始めたという。

 午後はさらに気温が下がった。買い物に行こうと庭に出ると、色づいたマルバの葉にセセリチョウがとまりじっとしていた。写真を撮ろうと近づいても逃げない。明日はさらに気温が下がるというし、このまま愛らしいセセリチョウは終焉のときを迎えるのだろうか。

 

 

 9月中に読了予定だった『井伏鱒二自選全集 第九巻』の残り10篇ほどを読む。午後3時、買い物に行くついでに八ヶ岳文化村の個人書庫に寄り、第九巻を返して第十巻を書棚から抜く。第十巻は今月中に読んでしまうつもりである。フランス文学も読みたくなり斎藤磯雄訳『ヴィリエ・ド・リラダン全集I』も抜く。『残酷物語』を読むのは何年ぶりになるだろうか。斎藤磯雄の名訳になるリラダンにまた恍惚となるだろうか。吉田秀和訳『モーツァルトの手紙』も持ち帰ることにした。

 

 買い物の帰途見ると、八ヶ岳の中腹に一本の雲が棚引いていた。頭上の空は暗い灰色だったが、西の空は不思議に明るく、見ていると心が幸せに満ちた。

 

 夕食後は、昨夜途中まで観た『グンダーマン 優しき裏切り者の歌』を観る。裏切り裏切られる世界。加害者であり被害者である社会。グンダーマンが歌う歌がよい。歌詞は東ドイツの生活に根差し、絶望と希望、愛が歌われる。東西ベルリンの壁が崩壊して何年になるだろう。旧東ドイツを掘り下げた優れた映画や文学が今後出てくるにちがいない。