6時35分起床。アルバイトに行くK子を送るためである。通常であれば彼女が自分で運転して行くのだが、今日はぼくが病院へ行く日なのである。彼女は、ぼくが間に合えばよいのだが、たぶん無理だろう、仕事で疲れているだろうにかなりの距離を、それも平坦な道ではない、歩いて帰らねばならない。地元の一家のように、成人の家族が1人1台ならばよいのだが、経済的に軽自動車をもう一台の維持はむずかしい。
ぼくは富士見高原病院へ行くのだが、車はK子に使ってもらい、ぼくは電車で行く方法を検討した。長坂駅から富士見駅までは15分ほど、富士見駅から病院まで徒歩10分なので、これだけみれば何の問題もない。しかし長坂駅までは歩ける距離ではなく、バス路線からも外れている。オンデマンドバスはあるが、登録し、前日の予約が必要だし、必要な時間に運行している保証はない。小海線の甲斐小泉駅までは徒歩20分の距離だが、電車は1日に数本しか運行しておらず、乗換案内アプリで検索したら、病院の9時半の予約に間に合う電車は6時過ぎの電車であった。仕事に行くK子に長坂駅まで送ってもらうことも検討したが、駅で2時間待たねばならず、ぼくは本でも読んでいるからとくに苦痛ではないが、K子に却下された。
田舎暮らしは楽しい。しかし時にはこのような問題が生ずる。これからこのようなことが多くなるはずだ。やがて免許証の返納ということもあるだろう。
9時10分前に出家する。言うまでもなく、出家というのは仏門に入ることなのだが、友人に家を出ることを常に出家と称していたのがいて、面白いと思ったので使わせてもらう。
朝早くには雲が多かったが青空が広がりはじめていた。八ヶ岳が久しぶりにすっきり見える。小淵沢道の駅近くの桜並木はだいぶ色づきはじめていた。
9時20分富士見病院へ到着。車を駐車場に停めて、空を見上げると太陽がまぶしかった。
9時半まず採尿、そして30分ほど待たされて採血。食事はしませんでしたよねと若い男性の看護師に聞かれる。とくにそのような指示はなかったと記憶する。2時間前に食べましたというと(八王子の病院へ通院していた時には2時間前に食事するように指示されていた)看護師は困った顔をする。
医師の診察まで1時間待たされるだろう。ブログを少し書き、小林秀雄の「モーツァルト」
を読む。11時に名前を呼ばれる。検査結果は前回よりも悪かった。しかし医師の話を聞く限り悲観することはなさそうだ。
11時45分病院を出る。思ったよりも早く終わった。K子が働いているファームまで30分だから、彼女を歩かせないでもすみそうだ。やけにのんびり走っている車がいて少し苛立ったが、予定通り12時15分にファームに到着。K子はまだ出てきていなかった。車から降りて景色を楽しむ。富士山こそ見えなかったが、甲府盆地が光に包まれていた。
帰宅して昼食の準備も面倒なのでローソンでもち麦入りのおにぎりやアジフライとチキンを買って帰る。
昼食後、2人とも早起きをしたので昼寝する。
夕食の時間まで「モーツァルト」を読む。ジョン・ラターというイギリス人が作曲した「レクイエム」やそのラターが校訂したフォーレの「レクイエム」を聴きながら。フォーレの「レクイエム」が新鮮だった。
いつもより早く夕食をすませ、ジャン・ポール・ベルモンドの『警部』を観る。アクションを自らこなすベルモンドはやはり観ていて楽しい。