ワイルドライフが身近になった日(Apr. 27, 2022) | 微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

八ヶ岳南麓、北杜市長坂町小荒間に在住。ときどき仕事をしながら、読書、音楽鑑賞、カメラ撮影、オートバイツーリングなどの趣味を楽しんでいます。

 目が覚め布団な中でごそごそ体を動かすと、猫たちがやってくる。しきりに手の甲などをなめてくる。時刻はまだ4時だ。天窓が濡れている。また目を覚ますと同じことの繰り返し。時刻は6時である。また目を覚ます。猫たちが体を押し付けるように頭の周りを歩き回る。はい、わかりました、起きますよ。時刻は7時半である。

 

 8時40分雨は上がっていた。さわやかだ。K子を長坂駅まで送る。学芸大まで行くとのこと。彼女がこの10年余ずっとサポートしてきた青年に心配なことがあるらしい。息子のように、いや、息子以上に世話をしている。なかなかできることではない。

 家の近くまで帰ってくると、2頭のシカがいた。もうバンビではないけれど、まだ大人になっていないシカで、お尻の純白に和毛が目立つ。群れからはぐれたのだろうか。撮影しようと車を停めると、お尻を向けたままこちらをふりかえる。iPhoneを構える前に走り去った。

 車を駐車し、シカが逃げ去った方へ行ってみたが、もう鹿は影も形もない。もどると、八重桜が散っている。雨で濡れた道は花びらで白くなっている。ウワミズザクラ(ウワズミザクラと間違える人が多いらしい。ぼくはウスズミザクラともっと微妙な、ひどい間違いをしていた)は? と見ると、昨日よりもよほど開花していた。

 

 

 11時半、車の半年点検があるので甲府のディーラーへ。昼食は運転しながらコンビニおにぎり。一個はもち麦のにぎりにした。高速は利用しなかった。

 ディーラーには12時45分に到着した。予約は1時である。終了は5時ぐらいだという。1、2時間ぐらいならば読書をしながら待つが、読書に不向きな場所で長時間過ごすのはさすがにつらい。そこで代車を頼んでおいたがとくにどこといって行くべき場所があるわけではない。となれば、ぼくの場合はブックオフぐらいしか行く場所は思いつかない。ディーラーの人が代車は満タンにしてもどしてくださいというが、エンジンをかけると満タンになっていない。それでは、この車はリッター15キロ走りますから、それで計算して入れてもどしてくださいといわれるが、めんどくさいなあと思う。

 いつも書くように、原則本は買わないことにしている。原則が破られることを前提にしているというのは変な話だが、ボックオフの100円の文庫は読みたいものがあれば原則は守らずともよいことにしている。そもそも買わないという原則があるのに本屋へ行くこと自体が可笑しいのである。2軒のブックオフをめぐり10冊購入。半数以上はたぶん所有している文庫ではないだろうか。岩波文庫など、古いのは紙が渋茶になり活字も薄れてきているので買い換える必要があるのだが、それ以上に読みたいと思ったからこそ敢えて二重買いをしたのである。

 ディーラーから電話があり、3時半には終わるという。30キロも走らなかったので2リットルだけ給油して代車は返す。ナビのOSが入っているSDカードの接触が悪くナビが機能しないというとらぶるはあったものの、車にはとくに問題はなかったようだ。しかし、交換した冬用タイヤの一本に釘が刺さっておりパンクしていたという。

 

 韮崎の業務スーパで食品などを買い、パン屋で食パンを買って帰る。帰途のルートはいくつも選択肢があり、毎回ルートを変えている。オートバイに乗っていたときの習慣で、往復とも同じルートを走ることは極力避け、新ルートの開発をつねに心がけている。今日の復路のルートは舗装されているとはいえ、極端に交通量が少ない山道だ。

 この道は変化に富んでいる。カーブが多く、アップダウンも大きい。道が急な下り坂になったときだ。道をやせっぽちの犬のような動物が横ぎった。いうまでもなく、尖った顔、キツネだ。何かを咥えている。車を停めると、キツネは一瞬立ち止まりこちらをふりかえると、あわてて薮の中に隠れてしまった。朝はシカに遭遇したが、今度はキツネだ。ワイルドライフが身近になった1日だった。

 

 キツネとの出会いを祝し、帰宅後中島敦「狐憑」と永井荷風「狐」を読む。