「スガレ追ひ」とは何だ?(Apr. 25, 2022) | 微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

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八ヶ岳南麓、北杜市長坂町小荒間に在住。ときどき仕事をしながら、読書、音楽鑑賞、カメラ撮影、オートバイツーリングなどの趣味を楽しんでいます。

 5時40分起床。快晴。気温8度。

 

 

 長坂駅6時10分に乗るK子を駅まで送る。さわやかな朝だ。新緑がまぶしい。富士山が中空に浮かんでいるように見える。帰途、ウワミズザクラが咲いているのが目に入る。花期の短い、円柱形のブラシのように無数の小花をつけるが、若葉に白が目立たず地味な花だ。しかし花期が短いので季節感はある。家の近くに木が一本あるので写真撮影しようと思ったが、まだ咲いてなかった。長坂町は八ヶ岳の梺の傾斜地なので標高のちがいが大きく草花の開花に影響するのだ。

 

 ウワミズザクラの失敗写真。

 

 9時10分ドラッグストアへ行き猫たちの固形餌を買う。綿半へも行き緑のA4コピー用紙を買う。来月の文学講座は『ユリシーズ』なのでアイルランドの国の色でチラシを作ろうと思ったのだ。わが家のプリンターはインクがなくなったので職場のコピー機を利用させてもらうつもりである。

 帰宅後ウッドデッキでモンテーニュのエセーを4篇、ごく短いものばかりを読む。

 昨日Yさんからもらったメールの返事を書く。前回の文学講座に欠席したのは入院していたからだという。しかしもう退院しており、入院中は『病牀六尺』、『漱石書簡集』、『漱石・子規往復書簡集』、『荷風俳句集』などを読んだというので、不謹慎を謝罪しつつ、羨ましいと書いた。仕事が忙しくて思うように読書ができないときに、入院でもしてのんびりゆっくり読書をしたいとしばしば夢をみたからだ。

 

 

 文学講座のチラシをコピーしなければならないので、長坂駅前でうどんを食べ、一本早い電車に乗ることにする。車中では井伏鱒二の「スガレ追ひ」を読む。

「スガレ追ひ」とは何か。「私はヂバチ(地蜂)を飼つてやらうと思っつた」と始まるのだが、地蜂の巣を見つける方法のことらしい。蛙の肉を餌に、地蜂が巣に運んでいくのを追って巣を見つけ、巣を掘り起こしたらそれを蜜柑箱(段ボール箱ではない木の箱だ)に入れて飼うらしい。井伏鱒二らしく詳細な(名人上手たちからの)聞き書きでなっておりさながら蜂の百科全書であった。興味深く面白い。

 ところで、信州高森という地名にハッとさせられた。高森といえば、地図で確認するまでもなく、信濃境駅周辺の地名だ。3年ほど前に小淵沢の石屋の奥さんが放課後子供たちが過ごせる場所として「高森文庫」なる施設を作り、そこを訪ねたことがあり地名を覚えた。井伏鱒二がその付近に住んでいたことがあるとは知らなかった。わが家から車で10数分の場所で井戸尻の蓮池がありしばしば訪れる地元のような場所だ。井伏鱒二が住んでいた(借家?別荘?)のはもう半世紀ほど前のことだが、井伏鱒二が身近に感じられて嬉しい。

 

 

 甲府は暑かったがまださほど不快ではなかった。汗もかかなかった。仕事に前に1時間半ほど時間の余裕があったので文学講座のチラシを緑色の用紙にコピーする。仕事の資料も同時に印刷。仕事はとくに問題なくすんだ。帰途の車中で「スガレ追ひ」の残りを読む。長坂駅直前で『井伏鱒二自選全集第6巻』読了読み終える。これで『井伏鱒二自選全集第6巻』読了。