アイスクリーム日和、読書日和(Apr. 22, 2022) | 微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

八ヶ岳南麓、北杜市長坂町小荒間に在住。ときどき仕事をしながら、読書、音楽鑑賞、カメラ撮影、オートバイツーリングなどの趣味を楽しんでいます。

 

 9時過ぎに起床。7時過ぎに一度目覚めたが、昨日は終日寝不足で終日ぼんやりしていたのに就寝が午前2時過ぎだったから、二度寝が2時間に及んだのも致し方ない。老人になっても規則正しい生活ができない。まあ、若い頃は就寝が夜明けごろだったから少しはマシになったのだが・・・・・・。

 

 

 わずかだが税金の還付があった。嬉しいが収入が減ったということだ。

 

 

 気温は17度。寝衣の上に何も羽織らずとも寒くない。朝食をウッドデッキで食べ、そのままリクライニングチェアに体を沈めて、ディーリアスの「村のロミオとジュリエット」を流しながら読書。土村杏村「あしびの花」、牧野信一「寄生木と縄梯子」、「ピエル・フオン探問記」、「西部劇通信」、「彼に就いての挿話」を読む。

 土村杏村は初めて読むか。西田幾多郎の弟子で大正時代には各方面で論陣を張った人らしい。しかし忘れられた思想家のようで、Wikipediaに彼の経済学の引用があったが、経済学に疎いぼくでも、その理想主義は最初から破綻していると思えた。とはいえ「あしびの花」は、これから馬酔木の花が見られようという季節にふさわしい文章だった。

 牧野信一はKindle版の全集で読んでいるが、構成は刊行年の編年体になっており、およそ3分の2近く読み進んだ。初期の牧野はまるで中二病のようで、面白いが辟易とさせられた。しかし、今読んでいる時期の作品は「ギリシャ牧野」の面目躍如たるものがあり、極めて私的なものを感じさせながら誰にも真似のできない独自の世界がギリシャ的光に満ちわたっている。いまたまたま『黒い雨』を読んでいるが、「彼に就いての挿話」の「彼」は井伏鱒二のことであり、秀逸な人物評であった。

 庭にはヒヤシンスやチューリップがスイセンなどが咲き、山桜が満開だ。モンシロチョウがひらひらと横切り、雀やシジュウカラが鳴きかわしながら、木々の枝から枝に飛び移り、庭におりて何かついばむ。向日葵の種は尽きたが、もう野鳥の餌台リストランテ・トリノは店じまいだ。猫たちがうろうろしているかと思ったら、いつのまにかお気に入りの日陰で目をつむっている。ときどきページから目を離して、それらを見ると、読書が楽しく進む。

 

 

 健康のためにパスタ類は控えているが、たまにはよいだろうと、ベーコンとキャベツのパスタを昼食に食べた。

 

 

 食後庭の花々を撮影していると、K子が「リス!」と叫んだ。満開の山桜の枝から枝へ身軽に飛び移るリスが逆光に輝く桜の花の中で躍動していた。花が散る。持っていたカメラには望遠がない。急いで家に入り超望遠レンズをつけたニコンを持ち出したが、もうリスの姿はなかった。リスは年に2、3回しか見られない。個体数が少なく、たぶん活動時間が主に早朝だったりと、ぼくの生活時間と合わないのちがいない。それだけに、リスとの出会いは貴重なのである。

 

 

 郵便局へ行き、コンビニでアイスクリームを買って帰った。アイスクリーム日和だ。ウッドデッキで食べる。猛烈に暑い日よりも、今日のように程々に暖かい日がアイスクリームは美味しい。

 

 

 読書日和でもある。午後はまず昨日Amazonから届いた『樋口一葉 日記・書簡集』(ちくま文庫)から日記を少し読んだ。一葉の日記は他の文庫でも持っているが、一葉の日記はもはや平安時代の女性の日記のようなもので、さらさらと読めるようなものではない。注が必要だが、ちくま文庫版にはありがたいことに脚注が就いているのだ。隅田川へ花見に行く一葉。気のおけない友人たちと楽しそうだ。

 次いで『ユリシーズ』第4挿話「カリュプソ」を読む。懐かしい俗物レオポルド・ブルーム。’Long time no see.’と挨拶する。『ユリシーズ』の魅力はブルームの俗物性だろう。何しろ小説という形式が俗なのだ。

 『黒い雨』は原爆投下3日目である。大厄災時における日常生活、人々は何を食べていたか。そのような事実が小説にリアリティを付与し、悲惨を現実のものにする。