紅灯の巷よ、いずこ。(Mar. 25, 2022) | 微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

八ヶ岳南麓、北杜市長坂町小荒間に在住。ときどき仕事をしながら、読書、音楽鑑賞、カメラ撮影、オートバイツーリングなどの趣味を楽しんでいます。

 9時気温は9度である。快晴。ひまわりの種を餌台に入れる。しばらくすると野鳥たちが訪れる。秘密の連絡法があるのだろう。スズメ、シジュウカラ、ヤマガラ、アトリが次々に訪れる。ヤマガラはウッドデッキのリクライニングチェアに敷いてあるフェルトの敷物の毛をついばんでいく。巣作りのためだろう。森の木にはアカゲラ。野鳥たちは冬よりも余裕がある。春である。

 

 

 井伏鱒二「駅前旅館」読了。井伏鱒二という作家は聞き上手にちがいない。小説には随筆風なものがあり、私小説的にも見えるが、フィクションである。駅前旅館で番頭をしていた人の話をじっくり聞き、調査研究したものを虚実織り交ぜて小説には昇華させたのだろう。

 

 昼食後K子を小淵沢駅まで送る。八王子のシェアハウスで世話していた若者が東京藝術大学大学院をめでたくも修了したので修了式へ参加するという。ずっと応援・支援してきたし、今でも長電話でしばしばおしゃべりするくらいの仲良しだから、彼女としても感無量だろう。

 ぼくには卒業式の記憶があまりない。なぜだろう。関心なかったんじゃない? とK子。確かに。でも、なぜ関心がないのだろう?

 K子を小淵沢駅でおろし、セルクルへ食パンを買いに行き、来月31回目の文学講座のチラシをおいてもらう。次いで市内8館の図書館にもおいてもらおうと、長坂支所に仮住まいしている長坂駅前図書館で配布を依頼する。本を仮に来た女性に、4月からは前のところですよ、と図書館人がいっている。助かるは、ありがとう、と女性。

 欲しいものがあったので須玉の100円ショップへ。ぽかぽか暖かい春の県道を走るのが楽しい。南アルプスは春霞にかすんでいる。梅の花が満開だ。車の窓を開けると風が気持ちよい。K子が藝大の桜が満開だと写真を送ってきた。

 スーパーおぎのにもチラシをおかせてもらう。効果の程は不明である。今まで文学講座に参加したいと連絡してきた人のほとんどは図書館でチラシを見たという。

 旧小泉小学校、現八ヶ岳文化村にも寄ってチラシを玄関の棚におく。来たついでに、ぼくの個人図書館で本を探す。前にも書いたが、まったく整理していないので予期せぬ本が見つかる。長い間所在が不明だった本がひょっこり姿を現す。悔しいのは、最近買ったばかりの本を見つけたときだ。まったく早贄の場所を忘れてしまうモズや、溜め込んだドングリや胡桃の保存場所を忘れるリスと変わらない。

 

 帰宅すると、モカがウッドデッキで日向ぼっこをしている。ミサキちゃんもいる。タンちゃんも姿を現す。ウッドデッキのリクライニングチェアはいつも猫たちに占拠されているのだが空だ。陽があたり暖かそうだ。今年初めてウッドデッキで読書することにした。お茶を用意して、モンテーニュを読む。やがて急に寒くなってきた。

 

 一人なので夕食はオートミールで簡単に済ませる。

 

 小淵沢着21時52分で帰るK子を迎えに行く。寒い季節の小淵沢駅はわびしい。乗降客は少ない。春の上野から帰ってきたK子にはいっそう寒く侘しく感じられるだろう。紅灯の巷よ、いずこ。