8時の気温は8度。2、3日前の0度に比べればかなり暖かいのだが、寒く感じるのはこちらの体が冬仕様から春仕様に変わったからだろうか。春寒というのだろうか。
日が暖かそうに照り始めると、散歩に行こうかと思うものの、後押しをしてくれるものがなく、きっかけも見いだせない。井伏鱒二「駅前旅館」の続きを読み、疲れると休み、今度は別のものが読みたくなって、寺田寅彦「花物語」、萩原朔太郎や河井酔茗の詩を1、2篇読み、堀辰雄の「春浅き日に」を読む。
「花物語」は花に託して子供の頃、少年の頃、青年の頃を回想した少し甘酸っぱい文章で寺田寅彦は小説家としても大成したのではないかと思われる。しかし、それはふとそんなふうに思ったという程度のことで、寺田寅彦は小説家にならないだろうし、やはりそうである以上大成も何もない。美しい回想記、随想があるのだから、それでよい。
「春浅き日に」にチェスタトンととものマックス・ビアボームの名が出てきたのにはびっくりした。ビアボームの生没年は1872-1956年で、堀辰雄が1904-1953年だから、名前が出てきても不思議はないのだが、寡聞にして、日本の作家の文章の中でその名前が出てきたのを初めて見たからである。たまたま少し前からビアボームの唯一の長編小説Zuleika Dobsonを読み始めたばかりだったということもある。いつのまにか翻訳されていたことにもびっくり。
午後郵便局と銀行へ。外出するとスッキリするが、用事を終えるとすぐ帰った。
夕方来月の文学講座第31回のちらしを作りすぐ印刷を始める。
夕食後例によって『刑事フォイル』を観る。罪を許すわけではない。しかし、ファシズムとの戦いという大義に妥協せざるを得ないこともある。
『駅前旅館』を読了したかったが30ページ残してしまった。