朝光射す 前編 | 89歳の車中泊撮影記~風景写真に魅せられて~

89歳の車中泊撮影記~風景写真に魅せられて~

風景写真に魅せられた後期高齢者が、時には車中泊を織り交ぜながら撮影を楽しむ様子です。
                       
                       








                        

朝光射す

前編

 

無断転用禁止

 

 

 

 2月中旬のことじゃ。 

 

 四季折々、折に触れては数え切れぬほど出かけている近所のダム湖。

 

 そのダム湖の正面、つまり上流には左右から高い山が迫っているのじゃがのう。

 

 その山裾と山裾の谷底からお天道様がお出ましになる時季があるのじゃ。

 

 それがこの2月と10月の2回あるじゃよ。

 

 しかしひとくちに谷間といっても、日の出は毎日微妙に動いて行くからのう。

 

 お天道様のわずかな左右のズレで湖に射し込む光の位置も日々変わってくるのじゃ。

 

 谷間のど真ん中からお出ましになった時と、撮影位置の左側へ光が射し込んだ時の光景は何年か前に既に撮影済みなのじゃがのう。

 

 しかし右側へ射し込んだ時の光景はまだ一度も撮ったことがないのじゃよ。 

 

 ネットなどで調べた結果、今日は谷底のやや左からお天道様がお顔を出されることが分かってのう。

 

 左の山すそからお出ましになれば光はワシの右側に射し込むという寸法じゃわい。

 

 というわけで当日は前夜から車中泊しながら今朝を迎えたのじゃが、果たしてワシの目論見通りになってくれるかのう。

 

 

 

 

 起床時の午前4時半の気温はー3℃。 

 

 この地域のこの時季ならこんなものかのう。

 

 

 

暁暗の河川敷をヘッドランプを頼りにヨタヨタと歩いて行く。

 

あの谷間のど真ん中からお出ましになるときは真正面に光が飛び込む。

 

右の山裾からなら光は撮影位置の左側に射し込む。

 

そして今日は左の山すそからお出ましになるはずじゃから、光はワシの右側へ飛び込んで来るという計算じゃ。

 

 

 

 

 

湖上に宿るマジックアワーの空。

 

この時間帯限定の夜から朝へのグラデーションじゃ。

 

 

 

 

 

 しかし周囲はまだ薄暗い。

 

 ピントも合わせにくいわい。

 

 

 

 

 

 上流の川面がわずかに明るくなって来たのう。

 

 

 

 

 

 日の出までは退屈じゃから、手当たり次第にシャッターを押してしまうわい。

 

 

 

 

 

 

不気味に白い対岸の枯木。

 

全国的な雨不足で干上がってしまったダム湖も多い中、ここはたっぷりの貯水量じゃ。

 

 

 

 

 

 風でも吹いてきたのか、さざ波が立ってきた。

 

 

 

 

 

 ちょいとばかり色づいて来たわい。

 

 

 

 

 

 


 

 曙色が徐々に広がって行く。

 

 

 

 

 

 

のたりのたりと揺蕩う湖水。

 

 

 

 

 

おっと!

 

遠くの山に陽が射し込んだ。

 

間もなくお出ましじゃ。

 

 

 

 

 

 と思った途端、ワシの右側の岸辺に音もなく光が飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 予測通り、左側の山すそからお出ましじゃ~。

 

 

 

 

 

 目の前の岸辺が見る見る明るくなってきた。

 

 

 

 

 そして暁暗の湖上に射し込む朝光一条。

 

 

 

 

 

 まだ薄暗い対岸を背に、光が湖上を走る。

 

 

 

 

 

 夜と朝の狭間。

 

 

 

 

 

 お天道様の上昇とともに光の幅が広くなって行く。

 

 

 

 

 

 

 サンロードが眩しい。

 

 

 

 

 

 水鳥たちも活発に動き出したわい。

 

 

 

 

 

 周囲も徐々に日常的な風景が戻ってきたのう。


 

 

 この後もヨタヨタしながら辺りの光景を撮ったのじゃが、あまり長引くと「チコちゃんに叱られる」からのう。

 

 この続きは次回に回させていただきまするわい。

 

 と言っても次回は付け足しのようなものじゃが、また我慢してご覧いただければ嬉しいがのう。

 

 

 

つづく

 

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