睡蓮と山藤
無断転用禁止
ワシの住処から20~30分の距離の山里には睡蓮の咲く沼が2ヶ所ばかりあってのう。
そのうちの一つの沼にはこの時季(5月上旬)、岸辺に山藤が咲くのじゃよ。
その山藤と睡蓮のコラボを撮影しようと、4月の下旬にロケハンに行ってきたのじゃが、その時はほんのわずかな睡蓮と、芽吹いたばかりのしょぼい山藤が咲いていただけじゃったわい。
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それから半月ばかり経ったある日の午後—。
その後の開花状況は如何ばかりかと、またノコノコと出掛けて行ったのじゃ。
先ずは二つある沼のうちの山藤の咲かないほうの沼へ行って見た。
途中でシャガの花を見かけたわい。
不精なことに車の窓越しにパチリ、パチリと2、3枚。
10年ほど前のことじゃが、滋賀県でシャガの群生を撮影していたら、地元の女性がこの花を引き抜いてワシに持たせてくれたことがあったのじゃ。
しかしワシはそれまで植物の世話なぞしたことがなかったので、これを育てることにちょいと躊躇したのじゃがのう。
それでもせっかくの好意を無にしてはならぬと、見様見真似で庭に植えておいたら数年後には花が咲き出したのじゃよ。
何しろ生まれて初めて自分が植えた植物じゃから愛おしくなってのう。
それ以来、この花を見かけると素通りできなくなり、ついついカメラを向けてしまうのじゃわい。
この沼へ来たときにいつも車を停めさせてもらう民家の庭先に咲いていたマツバウンラン。
どこにでも見かける雑草じゃが、ちょいと毛色の変わった形をしているのが面白くてついでにパチリ。
沼へやって来た。
葉っぱは威勢よく勢力を拡大しているのじゃが、肝心の花は一輪も咲いていないわい。
しかし3月に来た時は赤ら顔でひよろひょろとしていた葉っぱが、2ヶ月ばかりで見る見る立派に成長したのう。
対岸に見えるのは確かカキツバタじゃったという記憶があるが、今では傍まで行けなくなってしまっていて確かめるすべがない。
寄りによってこんな汚い所で愛の営みなどしなくとも、もうちょいと絵(写真)になる場所でお願いしたいものじゃ。
むむ?
まだ水中に沈んでいる赤ら顔の葉っぱがあるわい。
動物で言えば生まれる前の胎児じゃ。
ここの沼の睡蓮は奥手なのかのう。
こんな状態ではまだしばらく開花はおぼつかぬわい。
それではここは今後のお楽しみということにして、今度は山藤の方を見に行くとするか。

早速やって来たぞえ。
到着するや否や、まずは辺りをキョロキョロ。
前回のようにニホンカモシカがいないことを確認してから撮影開始じゃ。
あの時より花の数が増えているのう。
遠くの方にはかなりの花が咲いているのじゃが、残念ながらあちらへは近づけぬ。
近くの花でガマンしようわい。
こりゃ何じゃ。
花びらに穴が開いているわい。
どうしてこんなことになったのかのう。
山藤も前回に比べれば大分大きくなったようじゃ。
しかし観賞用の豪華な藤とは比べ物にならぬわい。
ここに自生する山藤は地味で小さく、あまり見栄えはせぬが、睡蓮とのコラボが撮影できるだけでもよしとしなければのう。
昨年ここで車中泊して分かったことじゃが、睡蓮はかなりの朝寝坊でのう。
夜間に閉じている花びらは、お天道様が高くお昇りにならぬと開き切らぬのじゃよ。
昨年の撮影では早朝の光が真横から射し込む満開の睡蓮を撮ろうと車中泊までしたのに、その時間帯はまだオネンネの最中じゃったわい。
そのくせ夕方になるといち早く閉じてしまうしのう。
睡蓮が早寝遅起きだとは知らなかったわい。
つまり開いた状態を撮るには日中が最適だということじゃのう。
盛夏になったらまたやって来て、睡蓮満載の光景も撮ってみたいものじゃ。
大して面白くもない画像ばかりじゃが、何とか山藤と睡蓮の共演を撮ることが出来たわい。
それでは一先ず今日はこれでオサラバさせてもらいましょうかのう。
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