凍結の池 その1凍
結の池 その
やっと雑用が終わって、やれやれこれで思う存分カメラを持って出かけられるわい思ったのじゃよ。
ところがそのあと、ワシの嫌いな土日がやって来たり、そうかと思えば不安定な天候が続いたりして、あれ以来、文字通り「続・ただいま巣ごもり中」になってしまったのじゃ。
土日が嫌いという理由は今までに何度も記したことなのじゃが、要するに道路も混むし、行った先も人出が多いからなのじゃよ。
そりゃ現役世代の皆の衆にとっては待望の休日なのじゃが、そんな時にワシのようなひま人がわざわざ土日を選んで出掛ける必要はないからのう。
皆の衆が一生懸命働いて下される平日に、コッソリ出かければ落ち着いて撮影に専念できるというものじゃ。
さて、そんなわけで撮影行きの日を虎視眈々と狙っているうちに世の中はすっかり春めいてしまったのう。
もうちょいとばかりワシの好きな冬景色を撮りたかったのじゃが、どうも今年は時機を逸してしまったらしい。残念じゃわい。
しかしひょっとすると標高の高い所へ行けば名残の冬景色がまだ見られるかもしれないと思ってのう。
そこでワシの住処から2時間弱のところにある、いつもの高原へ出かけることにしたというわけじゃ。
そこには大小5つの池がある。冬の間は全面結氷してしまっているじゃろうから面白味がないが、この時季になればその氷もそろそろ融けかかっているころじゃ。
その融ける途中の様子がちょいとばかり面白いのではないかと思ってのう。その氷模様でも撮って見ようと思ったのじゃわい。
毎日のように天気予報とニラメッコしながら、今日明日は100%晴れだという日を選んで出かけたのじゃ。
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ところが到着して、池をひと目見るなりがっかりしたのなんのって。
冬の間に池全面に張りつめていた氷が、今ごろはあちらこちらで融け掛かって、面白い氷模様が出来ていると思ったのじゃが…
あにはからんや、池は真冬のままじゃ。いまだに全面凍結してしまっているのじゃよ。
こんな氷ばかりを撮影しても何の面白味もないわのう。
しかしせっかく来たからにはこのまま手ぶらで帰るわけにはいかぬわい。
こうなったらもう目くらめっぽうシャッターを切りまくるだけじゃあ。
この池の所々には数か所から小川が流れ込んでいて、その注ぎ口の辺りはさすがに凍っていない。
氷が融けた池面には青空ものぞいている。
こりゃ何の穴じゃ?
所々には凍結した氷の上を水が流れているところもあり、その流れに乗って落ち葉がゆっくり流れてくる。
この枯れ葉は氷や雪の上に落ちているのではないぞえ。氷の上に水が流れていて、その上に浮かんでいる落ち葉なのじゃ。![]()
氷の上を流れる水につれて揺れ動く落ち葉。
植物はやはり雪よりは暖かいのじゃのう。樹木の温度で周りの雪が融けている。
こんな現象を根開き(ねびらき)などと言うらしいわい。
木の根っこばかりではないぞえ。こんな枯れ落ち葉でも、雪よりはあったかいのじゃのう。落ち葉の周りの雪が融けているわい。
春近しじゃ。氷に割れ目が出来ている。
池畔の柵が影を落とす。
遠くの森の影が映る。
穴ぼこが大から小へと整列じゃ。
どういう穴か分からぬが、中から時々気泡が浮き上がってくる。
氷の下には去年の落ち葉が山ほど溜まっている。
氷上のわずかな水溜まりにも周りの木々が影を落とす。
そろそろ黄昏て来たぞえ。
西日に光る氷の割れ目。
氷の割れ目に映る辺りの木々も黄昏色じゃ。
日没。
この高原は日の出、日の入りの撮影に適した場所があまりないのじゃ。
いや、一ケ所だけあるのじゃが、そこは冬季閉鎖になっているからのう。
仕方がないから今日のところは早々と🍱&🍺の‟豪華ディナー”じゃ。
それでは明朝を期して💤💤💤
撮影 3月15日
つづく
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