思い出写真 その5 ・ 惜別 消えたハス
琵琶湖のハスと言えば、滋賀県草津市・烏丸半島のハスが有名じゃったよのう。
毎年夏になるとハスの群生が湖畔一帯を埋め尽くし、カメラマンや観光客で賑わっていたものじゃ。
ところがある年、突然にそのハスが消滅してしまったのじゃよ。
原因はよく分からないらしい。
カメが食べたとか土壌が変化したなどと言われているがのう。
真相は闇の中じゃ。
ところで琵琶湖の湖北地方の公園にもハスの咲く池があってのう。
その池のハスが、烏丸半島のハスと呼応するかのように、ある年、突然消えてしまったのじゃよ。
全く思ってもいないことが起こってショックを受けたわい。
というのは、わしゃあこの公園の駐車場で車中泊を繰り返しながら、四季折々の蓮池模様を撮影してきたからのう。
この際、消えた蓮池の在りし日を記録に残しておきたいと思ったのじゃよ。
そこでまた「思い出写真」の出番じゃ。
撮りためた写真の一部を順不同で並べてみたわい。
下の画像がその池なのじゃ。
花の最盛期はもちろんきれいじゃが、季節外れの枯蓮風景もなかなかフォトジェニックじゃからのう。
じゃから開花時期は言うに及ばず、春夏秋冬、折に触れては撮影したものじゃ。
まだ薄暗い池面に朝焼けが映り込んで、夜と朝の狭間のような一瞬。
未明から日の出前後にかけては一日で一番魅力的な時間帯じゃのう。
これは上の写真とは別の日じゃ。同じ日の出でも色合いが違うのう。
折れた枯蓮が風に流されてたまり場ができる。
夕闇の中にサギが一羽。
季節が進んで、開花時期を迎えた。
未明の蓮池が紅色に染まる。
池面とハスの紅色競演じゃ。
水鏡
人それぞれの好みもあるのじゃろうが、わしゃあハス花が所狭しと咲く光景よりも、一輪だけが所々に咲いている方が好きなのじゃ。
朝露一滴。
朝光が降り注ぐ。
さて、花の盛りも終わったある日のこと―
この日は部分月蝕が見られるというということを知ってのう。
ならばハスと月を絡ませた風景を撮ってやろうと、勢い込んで出掛けたのじゃよ。
しばらく対峙していると、正面の伊吹山からお月様が顔をお出しになった。
ところが月蝕が始まらないうちに、お月様はどんどん上昇してしまって・・・
辺りが真っ暗闇になってからやっと月蝕が始まったのじゃが、そのころにはお月様ははるか天空の彼方じゃ。
もう少し低い位置で月蝕が始まってくれると、風景との釣り合いも取れて月蝕の様子がよく分かったのじゃがのう。
月蝕の開始時間も調べぬまま、慌ててすっ飛んでいった愚かなワシじゃった。
これじゃあ月蝕だか何だか分かりゃしない。
ちなみに、ハス池を照らしているのは公園内のグランドで市民がナイターを開催している照明灯のおこぼれじゃ。
さて、2017年夏のことー。
あちらこちらでハスの見ごろを迎えたころ、わしゃ例年のようにこの池に向かって車を走らせたんじゃ。
ところが着いてみるとー
こりゃどうしたことじゃ![]()
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池の中が空っぽじゃないかえ!
毎年あれほど池面を覆い尽していたハスは何処へ行ってしまったのじゃ。
広い池にたった一輪だけが申し訳なさそうに咲いていたのじゃが・・・
いくら何でもこれ一輪だけではのう。
といって嘆いても、無いものは無いわい。
後から知ったことじゃが烏丸半島のハス消滅もこの年の前後だったらしい。
何十キロも離れているというのに、何か関連性はあるのかのう。
それでもあきらめきれずに毎年、折に触れては覗きに行ったのじゃが・・・。
相変わらずの空っぽ蓮池じゃ。
水鳥は時々見かけるのじゃがのう。
お天道様とサギ。
昔の賑わいを思い出すにつけ、この空っぽの池は何としても寂しいのう。
森羅万象、生きとし生けるものがいずれは終焉の時を迎えることは分かっていても、目の前に現状を突き付けられるとやはり悲しいわい。
さて、最近の悪天候はまだまだ先が見えない。
コロナ禍と相まって、こんなに巣ごもり生活が長いと、体中にカビが生えそうじゃぞえ。
またしばらくは雨空とにらめっこの日々が続きそうじゃ。
それじゃあまたのう![]()
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