フラワームーン | 89歳の車中泊撮影記~風景写真に魅せられて~

89歳の車中泊撮影記~風景写真に魅せられて~

風景写真に魅せられた後期高齢者が、時には車中泊を織り交ぜながら撮影を楽しむ様子です。
                       
                       








                        

   フラワームーン

 

  ちょいとタイムラグはあるが、去る5月7日のことじゃ。

 

  折に触れてはよく撮影するダム湖に出掛けてのう。

 

 

 
 

 

  実はもう大分以前から、5月7日にはここへ来ることに決めていたんじゃよ。

  それはここでを撮影したかったからじゃ。

 

  それにしてもなぜ5月7日に限定する必要があったのかというと…

                                 (2020年3月撮影)

 ワシはこのダム湖の、左右にそびえる山のちょうど狭間から昇る月を撮ってみたくてのう。

 

 そこでネット検索をしたところ、あの位置から出る月は、近々では5月7日だということが分かったからなんじゃよ。

 

 この日を逃すと、9月までチャンスはないらしい。

 

 実は3月にもここで撮影してみたのじゃが、その時は左の山の上から昇ってきてしまって失敗したからのう。

                                  (2020年3月撮影)

 

 つまり今日はそのリベンジというわけじゃな。

 

 今回は前もって下調べをしておいたから間違いないぞえ。

 

 多分あの谷間から昇ってくるはずじゃ。

 

 

  ところがダム湖へ着いてみると、

 

  こ、こりゃ何じゃ!?目

 石ころだらけじゃないかい!

 

 つい最近まで満々と水を湛えていたあの湖はどこへ行ってしまったんじゃい!

 

  湖底が丸見えじゃ。

  普段は緑との境の部分が湖面なんじゃよ。 

 

 

 見るも無残な姿じゃわい。

 

 

 実は2020東京オリンピックで行われるカヌーの試合前練習場にこの湖が選ばれていてのう。

 

 以来、河川敷への道路を閉鎖までして盛んに整備工事をしているというのに、こんな状況の中でカヌーの練習なぞ出来るのかいのう。

(現在は工事中止? コロナの影響か、オリンピックが来年に延期された影響か?)

 

 

 それよりも何よりも、湖底が丸見えの湖ではワシのイメージする写真なんて撮れやしない。いちばん困るのはワシじゃいムキー

 

 ―などとほざいてみたところで、今さらどうなるものでもない。

 

 まあ成り行き任せでシャッター切るしか仕方がないというもんじゃ。

 

 

 それでは気を取り直して月の出前の暇つぶしにパチリパチリ・・・

 

 カワウはのんびりと日なたぼっこ?

 

  足元には春の草花も。

 

 ただし、腰痛でしゃがむのが億劫じゃから、立ったまま撮影じゃ。歳は取りたくないもんじゃて。

 

 お上は外出自粛してくれとやかましく言うが、こういう場所なら文句はあるまい。工事も休みのようだし、人っ子一人居やしないのだからのう。

 

 

  ーなどと、ウロウロ歩き回っているうちに月の出時刻が近づいてきたわい。

  しかし時間になってもお月様はなかなかお出ましにならぬ。

 

 遠くの山がかなり高いから、予定時刻通りには行かないんじゃろう。

 

 待ち遠しいのう。

 

 

 待つこと暫し…

 

 

 おっと!

  やっとお出ましじゃ!

 

 下調べした通り、大体予想した位置にお出ましになったが、もう少しだけ右にカメラを移動させてみようか・・・

 

 

 ここならどうじゃ…

 ふむふむ。これで真ん中ぐらいかのう。

 

 「月の道」も少し見えてきたしのう。

 

 

 

 

 どうしても露出した岩や土くれが邪魔じゃのう。

 

 長年ここへ通っているが、こんなに渇水状態の湖は見たことがないぞえ。

 

 

 やっとお顔を全部お出しになったわい。いいお顔じゃ。

 

 5月の満月をフラワームーンなどと言うらしいのう。

 

 他人さまのブログで教えてもらったわい。

 

 月は時間の経過とともに右上へ斜めに上昇していく。

 

 それにつれてカメラを左へ移動させて行きたいのじゃが、露出した手前の湖底部分が邪魔になってのう。

 

 

 

 

 

 

 左右の岸辺や手前の荒涼たる光景はどうみても興ざめじゃ。

 

 これじゃあ景観が悪い上に月の道も見えやしないわい。

 

 暗くなるに従い、周りの景色と月との明暗差が大きくなって、景色はシルエットになってしまう。

 

 わしゃあ月のある風景を撮りたいのじゃよ。周りの景色が写らなくなってしまったんじゃあどうも面白くないのう。

 

 

 仕方がない。もう帰るとするか。

 

 周囲がもうちょいと明るいうちにお月様がお出まし下されたらよかったのにのう(相変わらず、どうにもならない自然を相手にグチばかり言いおってプンプン)。

 

 それにしても、この渇水状態は計算外じゃったぞえ。

 

 またもやブツブツぼやきながら帰途に就いたというわけじゃ。

 

  家へ帰って夜空を見上げたら、お月様は屋根の上。

 

 やっぱり人工物のない風景写真のほうがわしゃ好きじゃわい。

 今夜は自宅でzzzじゃ。