ツツジの撮影 前編 | 89歳の車中泊撮影記~風景写真に魅せられて~

89歳の車中泊撮影記~風景写真に魅せられて~

風景写真に魅せられた後期高齢者が、時には車中泊を織り交ぜながら撮影を楽しむ様子です。
                       
                       








                        

 ツツジの撮影 前編

 

 天気予報を見ると、今日は午後から曇りか雨、そのあと深夜から晴れとなっている。

 

 しめしめ。

 

 前日に雨が降って翌朝から晴れると、霧が出やすいからのう。

 

 そこに陽が射すと霧が紅色に染まって・・・。考えるだけで胸が躍るというものじゃ。

 

 こりゃアどこかへ出かけなきゃなるまいて。

 

 と、思案した末、思いに至ったのはミツバツツジの撮影じゃ。

 

 折に触れては頻繁に出かけるあの森の中に、例年ゴールデンウイークのころになるとこの花が咲くんじゃよ。

 

 このごろはどこでも開花時期が早くなっているから、ちょうど今ごろは真盛りかもしれないぞえ。

 

 どうせ暇じゃ。とにかく行ってみるとするか。

 

 

 ・・・と早速やってきたのじゃが、

 

 こりゃダメじゃ。やっとつぼみがついたころじゃわい。

 

 まだ早かったか・・・えーん

 

 

 こんなことじゃあ面白くないわい。

 

 真盛りになると、この辺り一帯はピンクの世界が広がるんじゃけどのう。

 

 仕方がない。出直すか・・・

 

 しかしせっかく来たんじゃ。ミツバツツジは仕方がないとしても、明日の朝には朱に染まる霧が見られるかもしれないからのう。

 

 やっぱり今夜は車中泊じゃ。

 

 

 それまで暇じゃ。咲き具合はちょいと物足りないが撮ってみるか。

 

 

 まだつぼみじゃのう。満開までにはもう4、5日かかるかのう。

 

 

 

 

 

 ほころびかかったツツジの中で、小鳥がのどかにさえずっているわい。

 

 

 森の中を一巡りしてビジターセンター前の広場へ来た。

 

 すると見慣れない建物が出来ているんじゃよ。

 

 はは~ん。これで分かったぞ。

 

 去年から森の中を通せんぼにして、工事をしていた理由がのう。

 

 それにしても、こりゃ何じゃろう。

 

 窓ガラスに「オープンまで今しばらくお待ちください」の張り紙。その後の説明は何もないわい。

 

 中を覗いてみると・・・というより、周囲は三方が素通しのガラスだから、わざわざ覗かなくても丸見えじゃ。

 

 周りを一回りしてみたが、何のための建造物なのかさっぱり分からんわい。

 

 ま、そのうちに分かるじゃろう。

 

 

 と、また森の中へ引き返して行ったんじゃ。

 

 その時・・・

 

 ムム?

 

 目な、何じゃ!?

  タヌキ?

 

 タヌキなんぞ、この辺りでは今まで見たことなかったぞえ。

 

 

 向こうも慌てたのか、すぐ穴の中へもぐってしまったわい。

 

 向こうも慌てたじゃろうが、こっちも慌ててブレブレの写真になってしまったのう。

 

 

 しかしわしゃケモノの写真を撮りに来たんじゃないわい。

 

 風景写真を撮りたいだけなんじゃからのう。

 

 と、気を取り直して、また周りの風景撮影に戻ったのじゃが・・・

 

 

 

 

  な、なんじゃい!

  またお出ましかい!

 

 おタヌキ様が別の穴の中からぬっと顔を出したぞえ。

 

 さっき入った穴がここまで通じていたんじゃな。

 

 

 穴から出たタヌキはチラリとこちらを一瞥しただけでトコトコトと去っていたわい。

 

 それにしてもフロントガラス越しに撮影すると、ピントがうまく合わないのう(言い訳)。

 

 車から降りれば、きっと一目散に逃げ去るじゃろうからから仕方がないわい。

 

 

 

 

 この辺りももう数日すれば桃色の愛らしい花でいっぱいになるんじゃろうて。

 

 またそのころに来てみるわい。

 

 

 などと呟きながらゆっくり車を走らせていたら、

 

 

 またもやおタヌキさまのお出ましじや。

 今度は 逃げようともしないで、こっちをじっと見つめてござるわい。

 

 

 逃げるどころか、だんだんこちらへ近づいてくるんじゃよ。

 

 

 ひょっとすると、ワシを気に入ってくれたのかのう。

 

 まさか・・・爆  笑

 

 

  などと、アホなこと思っていたら・・・

 目の前まで来た途端、猛ダッシュで車の横をすり抜けて行ったわい。

 

 何のことはない。自分のねぐらへ帰りたかっただけだったんじゃ。

 

 

 タヌキ騒動で時間がつぶれて、気がついたら日が暮れたわい。

 

 ワシも今夜のねぐらを確保するとしようかのう。

 

  と、いつもの場所に車を停め、日本酒のあと眠りに就いたのじゃが、

 

 夜中に突然の雷鳴と、車の屋根をたたく雨音で目が覚めた。

 

 こりゃあおあつらえ向きの雨じゃわい。

 

 明朝は晴れると言っていたしのう。

 

 ウフフフ。

 

 紅色に染まる霧が見られるかもしれないぞえ。zzzzzz

 

                                つづく