冬ごもりのたわ言 | 89歳の車中泊撮影記~風景写真に魅せられて~

89歳の車中泊撮影記~風景写真に魅せられて~

風景写真に魅せられた後期高齢者が、時には車中泊を織り交ぜながら撮影を楽しむ様子です。
                       
                       








                        

 今年もまた「冥土の旅の一里塚」がやって来たのう。

 

 これはまあ毎年否応なしに来ることじゃから仕方がないとあきらめているのじゃが、そのほかにもう一つ嫌なことがあるんじゃよ。

 

 それはこの時期、どこへ行っても人出が多いことなんじゃよのう。

 

 撮影に行こうとしても道路は大渋滞するし、現地へ着けば三脚がずらりと立ち並んでいるという具合で、思っただけで行く気を削がれてしまうわい。

 

 

 だから世の中の喧騒が終わるまで、しばらくは冬ごもりを決め込んでいるんじゃ。

 

 こんな時期にわざわざ出かけなくても、わしゃあ隠居の身じゃからのう。 

 

 正月休みが済んで、現役世代が仕事で撮影どころではなくなったころを見計らって、こっそり出かけて傑作をものしてやろうわい。ウヒヒヒヒ。

 

 

 

 というわけでわしゃしばらくは退屈で仕方がないんじゃよ。

 

 わしゃあ20数年前からあちらこちらへ出かけては写真を撮っているのじゃが、気に入った被写体が見つかると、同じ場所に何度でも足を運ぶことがよくあるのじゃよ。

 

 ところがそうしたお気に入りの撮影地でも、通っているうちに急に以前とは環境が変わってしまっていてがっかりすることがあるのじゃわい。

 

 こういうことは多くの写真マニアが経験されていると思うんじゃが、今回は退屈しのぎに、ワシが経験したそんな場所をピックアップしてみたんじゃよ。

 

 

 

 

 その1

 撮影の途中、通りかかった道路際に一本の老木が立っているのを見つけてのう。

 

 幹の真ん中が洞になっていて、そこを覗くと向こう側の景色が見えるじゃよ。

 

 上の写真のように洞には草花が生えていて盛り花のようになっていたり、洞の向こう側から草花が覗いていたこともあって、そこを通るたびに楽しく撮影したもんじゃ。

 

 それから何年か後が下の写真じゃ。

 森羅万象すべて永久不滅ということはないとはいえ、この木に愛着があったワシとしてはやっぱり寂しかったのう。

 

 

 

その2

 これもかなりの老木じゃが、広い草原の中でなかなか存在感のある木じゃった。

 

 その木を絡めた写真を数年間撮り続けてきたんじゃが、ある年、とうとう下のような有様になってしまったわい。

 

 

 

 

 その3

 これはハンゴンソウという植物で、夏になると道端や田んぼの畔などに咲く、ごくありふれた花じゃがのう。

 

 しかし平凡な花でもこうして群生しているとなかなか見応えがあるもんじゃ。

 

 これが数年前から、なぜかここに柵が張り巡らされてしまってのう。

 管理機関ではそれなりの理由があって設置したんじゃろうが、カメラマニアとしては面白くないんじゃよのう。

 

 

 

 その4

 

 この一本木も折に触れては何度か撮影させてもらったのじゃがのう。

 

 それが何年か後にはご覧の有様となってしまったわい。

 

 雪の朝に倒木となっているのを発見したときはかなりのショックを受けたもんじゃ。

 

 

 

その5

 下の写真は近年とみに有名になった長野県茅野市の御射鹿池じゃ。

 

 この池の道路沿いには柵があるんじゃが、以前は柵の中へ入ることも可能で、自由に撮影できたのじゃ。

 

 しかしその後カメラマニアや観光客の増加とともに、柵内は立ち入り禁止になってしまってのう。

 

 しかもそばには観光バスも停まる広大な駐車場まで出来て大にぎわいとなってしまったんじゃ。

 

 昔のような静かな佇まいは失われてしまったわい。

 

 柵内の立ち入り禁止となると、撮影は柵の外から撮るしか仕方がないからのう。

 

 そうすると、基本的には下の写真のようなアングルしか撮影できなくなるんじゃ。

 

 記念に一枚だけということならこれでもいいのじゃが、ある程度の作品作りをしようとすると、水際まで降りて行かないと無理じゃよのう。

 

 これじゃあ、何度通っても同じような写真ばかりになってしまうんじゃ。

 

 かと言って、大勢の人がこのまま無制限に水際まで行ってしまえば、自然環境はますます破壊が進み、現状を保つことは難しくなるんじゃろうしのう。困ったことじゃわい。 

 

 

 

 

 その6

 そのほかに昔と変わったことと言えば、道路の冬季閉鎖区間が増え、閉鎖日時も早くなってきたということじゃのう。

 

 最近は何か事故があると、すぐ行政を非難する風潮があるせいか、行政側としても放っておけず、大事に至る前に安全を期して早めに閉鎖してしまうんじゃないかと、わしゃあ推測しているんじゃがのう。

 

 ワシが時々お邪魔している長野県鉢伏山の例じゃが、あらかじめ決められた閉鎖日時が来ると、雪があろうがなかろうが、否応なしに閉鎖してしまうのはカメラマニアからすると悲しいことじゃわい。

 

 下の写真はまだ冬季閉鎖がないころ、12月に撮った鉢伏山じゃ。

 全山が霧氷で覆われ、この世のものとも思えないような光景じゃったわい。

 

 ところが近年は11月中旬過ぎには早くも閉鎖されてしまってのう。

 

 これじゃあよほど早めに寒波でも来ないと、上のような光景にはお目に掛かれないぞえ。

 今冬も道路に雪などまるでないのに、否応なしに通せんぼじゃわい。

 

 もうちょいとばかり融通を効かせてもらえるとありがたいんじゃがのう。

 

 

 

 

その7

 ここは近所のダム湖なんじゃがのう。

 

 四季を通じてそれぞれ美しい景色が広がって、ワシを楽しませてくれているんじゃよ。

 

 ところが今年オリンピックに出場するある国のカヌー競技の事前練習地としてこの湖が選ばれてのう。

 

 そのため昨年当初から工事が始まり、カヌー用のスロープが設置されたんじゃ。

 

 

 河川敷の草地の一部を削り取ってアスファルトが敷かれ、カメラマニアからすると、かなり景観が悪くなったわい。

 

 さらにオリンピック間近になればさぞかし賑やかなことになって、撮影どころではなくなるんじゃろうのう。

 

 

 こうして年々歳々、お気に入りの撮影地が減ってしまって、後期高齢者のワシが撮影に行けるところはほんの数か所に限られてしまったわい。寂しいことじゃ。

 

 

 

 暇を持て余したばかりに少々余分な事を言ってしまったかもしれないがのう。

 

 カメラマニアの勝手なたわごとだと思って聞き流してくだされや。

 

 それではそれぞれの楽しい正月休みを過ごしてくだされ。

 

 わしゃしばらく冬眠じゃzzzzzzzzz