前回のつづき
翌朝・・・
アラームで目を覚ました。
暁闇の中で目を凝らすが、霧は出ていない。こりゃダメじゃわい。
それでもとりあえずは現場に直行じゃ。
おっと、その前に血圧降下剤を忘れずに飲まなきゃのう。
年寄りは大変じゃぞえ。
道路わきの気温計は9度を示している。
こんなに高い気温じゃあ霧も雲海も、まあノーチャンスじゃて。
せっかくこの一瞬のために、したくもない車中泊までして臨んでいるのにのう。
盆地の中に集落の灯が見える。
空が赤くなってきたが、あの黒い雲が邪魔じゃわい。
太陽のお出ましじゃ。
霧が出ないから、まともに太陽を撮ったら、ゴースト(注1)やフレア(注2)の満艦飾になってしまうわい。
従って太陽は避けて、周りのススキや山を撮るしか術はない。
朝光をまともに受けてススキが輝く。
とうとう何の収穫もないまま、今朝はこれで“店じまい”じゃ。
またのお楽しみとするか。
さてと・・・
それじゃあ気を取り直して、昨日見ておいた、例の高原の一本木を視察して来るとしようか。
木を見に行く前に、前回にも撮った池の中の切り株を覗きに行こうかのう。
朝陽を浴びた切り株も、これはこれで面白いわい。
そばに咲いていたマムシ草を絡めてパチリ。
さて、朝の一本木の紅葉状況は如何に・・・
ん・・・?
晴天の中で目を凝らすと・・・![]()
こりゃあ紅葉というよりも、もう枯れかかっているじゃないかえ!
昨日見た時、色づいていると思っていたのは、茶色になって枯れかけていたんじゃ。
ということは、今年は紅葉しないまま、枯れちゃったというわけかいな!
今まで何度も下見に来て、紅葉するのを楽しみにしていたのにのう。
また来年の持越しになってしまったわい。
わしゃあこんな光景を期待していたのにのう。
(約10年ほど前に撮影したもの)
今年もまたすごすごと引き下がることになったわい。
ではサラバじゃ。 完
注1ゴースト 写真用語。逆光時などに強い光が入ると、レンズ内で反射した光が絞りの形や楕円などとして写る、光の像のこと。
注2フレア 写真用語。光が入ると、レンズやボディの中で光が反射して、画面にカブリやムラが出る現象を言い、画面が白っぽくなってしまう。
カメラマニアには分かりきった用語じゃが、カメラにはなじみの少ない方にも訪問していただいているので、蛇足ながら書かせていただいたぞえ。











