リアルタイムで演じるとき、演技の約束ごとはそれほど多くありません。
というと、じっさい楽ちんに思えますが、それは核心がシンプルなのであって、それでこそ現場でさまざまなアイディアを生み出すことができるのです。
ボクシングのセコンドだって、サッカーの監督だって、試合が始まってしまえばかける言葉はとてもシンプルです。
ぎゃくにたくさん言っても、伝わらないのだそうです。
だって、演じている最中はただでさえ考えることが多いのですから、枝葉末節(しようまっせつ)まで取り決められてしまっては、本人はがんじがらめになってしまいます。
問題は、複雑なことをおぼえれば演技がうまくなる、と考える気持ちを見直すことです。
それでは、学術的なレッスンの思うツボです。
心配しなくても、演技はひじょうに複雑なことをしています。
しかし、演技中にもっとも気をつけることは、そうではありません。
プロの俳優は極力シンプルにして、じぶんを自由にする大切さを知っているからです。
つまり大切なのは、なにを決めて、なにを決めないか、です。