50歳台前半の女性の話です。
コロナ後遺症で苦しんで約4ヶ月経過した方が受診されております。
コロナ後遺症で有名な病院や大学病院など多数の施設を受診したのですが、はかばかしい効果がなく受診されております。
疲労倦怠感が著しくて、日常生活を送るにも苦労なさっております。なにしろ日常生活にすら難渋しているのです。
仕事はとてもできない状況に追い込まれております。
診察すると手足の冷たさが目立ちます。
手のひらの中央部の温度は35度あります。
しかし、わずか15センチ程度離れた指紋の中央部付近の温度が23度から25度しかありません。
身体の末梢まで十分に血液が流れていない状況です。
腹部は温かいのですが、全体に消化管のガスが多い状況です。
打診では腹部全体に鼓音を呈する、と表現しますが大腸のガスが目立つ状況です。
これがあるだけで身体背面、つまり後頚部・背中・腰の筋肉の異常なこりが出てきます。
これらの身体の背面の筋肉の異常なこりがあると睡眠の質が悪くなり、疲れが抜けなくなってしまいます。
睡眠導入剤を内服して、ようやく寝ているようです。
血液の温度変化と寝付きには密接な関係があります。
全身の血液の3/4がお腹にあります。
その腹部の血液の温度が上がり、温かくなった血液が手足に移動します。冷たかった手足が温かくなって、お腹の温度が下がります。
この時点で眠りにつきます。
手足が冷たい方は寝つきが悪くなります。
小さい子どもさんを想像してみましょう。
手足が温かくなってきた、と思ったらこてっと寝てしまうでしょう?
大人も同じなのです。
全身に血液の流れが良い時には睡眠の状態も良いのです。
身体の機能を支えているのが血液なのです。
全身にある血液の量は、成人男子では6リットル、成人女子では5リットルです。
この血液がぐるぐる全身を巡っています。
血液の流れが良い時には身体の機能が良いというのは納得できるでしょう?
治療の目標を血液の流れの改善することが、難病治療に限らず大切なことになります。
長くなりました。
稿を改めます。