こうして慢性疲労症候群の治療に大きな手掛かりをつかみました。
慢性疲労症候群や線維筋痛症のの患者さんを観察していると、二つの特徴がありました。
第一に身体がとても冷たいのです。多くの患者さんでは自分が冷えているのに気がついていないことも多かったのです。
第二にはほぼ全身の筋肉がこり固まっているのでした。
筋肉がこっているために痛みや疲労倦怠感が出ているとしか考えられない状態ですが、これまでに受診してきた病院などではその筋肉のこり・強張りといったものを指摘されたことはなかったのです。
身体の冷えに関しても筋肉のこり・強張りと同様に指摘されたことはないとおっしゃる患者さんばかりでした。
こんなに明らかな異常があるのに、どうして他の病院ではこれらの異常を指摘されないのでしょうか?不思議でしょう!
それは医学部の教育に問題があるためだと考えております。
医学部の講義では冷えや筋肉のこりといった言葉が出てこないのです。
少なくとも”湯たんぽ”が医学部の学生だった頃には、冷えや筋肉のこりといった言葉を講義で聞いたことはありませんでした。
冷えという言葉自体が医学用語ではありません。
南山堂から出版されている、医学用語辞典という本がありますが、そこで冷えを検索すると、日常生活の言葉であり、医学用語ではないと明記してありました。
冷えは医学用語ではありませんが、しかし現実に存在するものです。
冷えのために苦痛があるならば、治してほしいと思うのが普通でしょう。
しかし、その苦痛が冷えのせいで起こっているとしたら、冷えをみつけられない医師では対処できないでしょう。
医学部で冷えや筋肉のこりという言葉が出てこないのは、治療の対象と考えていないからなのでしょう。
コロナ後遺症は感染後慢性疲労症候群にやがてなる病態と考えております。
冷えの問題はコロナ後遺症でも非常に大きな問題なのです。
しかし、冷えに気づけない医師が大半なので、ほとんどの医療機関でお手上げ状態なのだろうと推測しております。
冷えの問題は後にも取り上げます。
次回は筋肉のこりについて取り上げる予定です。