地力向上こそが農業再生のカギ① | 知っとうや(真実を求めて?!)

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⚡2900年続いた人類中心文明は、近い将来、五六七(弥勒)時代となり、本来あるべき姿に戻ります。それまでは産みの苦しみが続きますが、見事に成就して欲しいものです。⚡

2年前から循環型農業の事業にも関与することになりました。

 

具体的には、野菜カット工場から排出される野菜残渣を中心に、放線菌を使って堆肥化させることをメインで行っています。

 

出来た堆肥を自社の畑に投入し、有機栽培で作物を作ります。基本的には無農薬です。病気等の発生等、いたしかたない場合のみ低農薬で栽培を行います。

 

出来た作物は、野菜残渣を排出している野菜カット工場を所有する外食企業に購入していただくという、国が推進しているリサイクルループという事業を行っています。

 

私自身は、農業は家庭菜園レベルしか行っていませんでしたが、10年前、東日本大震災の後、循環型農業に触れる機会があったことから、とても興味のある事業として取り組み出しました。

している企業等は全国にほとんどない、というのが実状であることを知りました。

 

実際に、私が関わった事業でも大失敗しました。

 

堆肥とは好気性の菌によって上手く発酵した結果の産物なのですが、含水率80%を超える野菜残渣では、好気性発酵させることが非常に難しかったのです。

 

発酵が上手くいかず、嫌気性の菌が増殖し腐り出したのです。腐敗です。

 

発酵と腐敗は紙一重だったのです。

 

結局、大きな投資をして稼働させた堆肥化プラント施設を、稼働後半年もたたずに停止せざるを得なくなりました。

 

複数の専門家の意見を聞いた結果、堆肥化の方法を根本的に変えることにし、さらに多額に追加投資をして半年後に再開しました。

 

それから1年かけて何とか堆肥化に成功しました。微生物を使って発酵させる堆肥作りが如何に難しいものなのか、肌身を持っていることになりました。

 

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実はこのタイミングで、国も肥料と堆肥に関する法律を変えました。

 

 
改正の内容を簡潔に説明しますと、肥料(普通肥料)堆肥(特殊肥料)混合して販売することが可能になったのです。
 
それでは肥料と堆肥の違いは何でしょうか?
 
法律上の定義です。
 
肥料
:植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土壌に化学的変化をもたらすことを目的として土地にほどこされる物及び植物の栄養に供することを目的として植物にほどこされる物をいう
 
表現が複雑で難しいですが、簡潔に言うと作物を栽培するために必要な化学成分(無機物)です。
 
一方の堆肥です。
 
堆肥
:易分解性有機物が微生物によって完全に分解された肥料のこと(特殊肥料)
 
こちらも簡潔に表現すると、有機物を微生物を使って分解して肥料としたものです。
 
普通の肥料は化学的無機物成分で、堆肥は自然的有機成分とも言えると思います。
 
有機栽培とは、一般的には堆肥を使った栽培をいいます。有機栽培は健康に良いと言われますが、その理由は次回以降に説明しようと思います。
 
肥料の特徴は、作物に不足する栄養分を的確に補給し、即効性があることです。作物を大量生産する現代農業では、化学肥料が主流になっています。
 
しかしながら、出来た作物は画一的で、かつ味が落ちます
 
 
一方の堆肥は、土中の有機物を微生物が分解しながら栄養分を作物に提供するので、肥料よりも即効性が落ちますが(遅効性)、じわじわと長時間、栄養分を提供出来ます。
 
栄養分については堆肥の性質に依存しているので作物によっては不足する成分が生じる場合があります。
 
(従って、不足する成分だけを肥料として投入すれば良いのです。)
 
出来た作物は、大きさ形にばらつきが出来やすいですが、味は肥料だけの場合よりも良くなりやすいです。
 
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堆肥と言えば、現在では牛糞や鶏糞ベースの堆肥がほとんどで、強い臭いがすることからあまり良いイメージはないかもしれません。
 
ところが、それは完全に熟した堆肥、出来が悪い堆肥だから強い悪臭がするのです。
 
きちんと発酵した、熟した堆肥であれば、牛糞や鶏糞であってもそれ程嫌な臭いはしません。ホームセンター等で販売されている堆肥は、はっきり言って出来が悪い物ばかりです。だから安いのです。効果も薄いです。
 
また、冒頭に述べましたとおり、難易度が高いですが植物性の残渣からでも良質な堆肥は作れます。
 
しかしながら、現代の農業では、堆肥をベースにした農業はなくなりつつあり、多くの農家が化学肥料中心の農業に移行しています。堆肥の有効性を知らない農家も増えているようです。
 
有機栽培を目指す若手農家も出て来ていますが、国内の農業全体から見ると圧倒的に少ないようです。
 
化学肥料のみの畑で作られた作物は、味が落ちるだけでなく、作物に含まれる栄養分が少ないというデータも出ています。
 
前述しましたように、昨年2020年に国は肥料取締役法を改正し、肥料と堆肥を混合して販売出来るようにしました。
 
その意図は、国内の農業に適した畑の地力が、昔より格段に落ちている危機感からです。
 
地力とは、土が作物に栄養分を提供出来る能力です。
 
長年、化学肥料ばかりを投入した畑では、地力は落ちてしまい、化学肥料なしには作物は栽培出来なくなっています。
 
悪循環なのです。
 
地力が落ちる一番の原因は、土中に土を活性化する微生物が少なくなることです。
 
化学肥料は無機質ですから、有機物を分解する微生物が少なくなります。
 
堆肥をベースにした畑では、土中に微生物が豊富に存在しているので、作物を作った後も最低限の地力は残っています。次年度以降、堆肥を加え、不足する栄養成分だけの肥料を加えることで、栄養豊富な美味しい作物が成長します
 
これからは、昔のような堆肥ベースの土作りを行わないと、食料危機に陥った際に乗り越えられない可能性があります。
 
また、自己免疫力・健康増進の観点からも、これまでの化学肥料一辺倒の農業では通用しなくなるはずです。
 
次回に続きます。
 

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