認知行動療法研修開発センター理事長
精神科医 大野 裕先生が、
認知行動療法についての教育講演で、
「うつ病の認知療法・認知行動療法:誤解を正す」でした![]()
「誤解を正す」という、
ちょっと大げさな副題がついているのは、
認知行動療法について誤解されている部分が
少なくないからとのこと。
◆認知行動療法は
ずいぶん広く受け入れられるようになってきました。
医療場面はもちろんのこと、
保健や福祉、職場や教育、
さらには司法の分野でも使われるようになり、
このように認知行動療法が
広く使われるようになると、
いろいろな誤解が生まれますね。
(ちなみにアンガーマネジメントも、
認知行動療法がベースとなっています)
そのために、効果が上がらないだけでなく、
好ましくない効果が出て、
悩んでいる人がさらに悩むようになっては困る…
そうしたことが起きないようにと
大野 裕先生は願って、
「誤解を正す」という副題をつけたとのこと。
その中でひとつ取り上げたのが、
「認知行動療法は考えの癖を知って、
それを変える治療法だ」という理解です。
この考え方はまったく間違いだと
いうわけではないですが、
2つの点で誤解を生みやすい表現![]()
それは「心の癖を変える」と
「考えを変える治療法だ」という点です。
確かにワタシも…
「心の癖や考えを変える」のは、
できないし、
変えようとすると、自分を否定するようで、
認知行動療法は…
あまり好きな療法ではなかったです![]()
世の中には、
「自分を変える療法」として、
認知行動療法を紹介している本
が
多いと感じていました。
心の癖を変える![]()
まず、「心の癖を変える」という表現…
これだと心の癖がまったく悪いもののように
聞こえます![]()
しかし、心の癖には、悪い面だけでなく、
よい面もあります。
だからこそ、癖として残ったともいえます。
◆たとえば、完璧主義を考えてみます。
「白黒思考」で、少しでもよくない面があると、
「よくない」と決めつけると
苦しくなります![]()
しかし、「白黒思考」ができるから、
きちんと問題に取り組むことができます![]()
逆に「白黒思考」ができないと、
いい加減になってしまいやすくなります![]()
「べき思考」も同じです。
「こうすべきだ」と考えて、
自分を縛りすぎると苦しくなります![]()
何かうまくいかなかったときに、
「こんなことすべきじゃなかったのに」と、
自分を責めるとつらくなります![]()
しかし、その一方で、
「べき思考」ができるからこそ、
がんばることもできます![]()
少しつらくても、
「大切だからやるべきだ」と考えれば、
がんばれるようになります![]()
要は、考え方の癖が悪いのではなく、
使い方次第で癖が
役に立つこともあれば、
つらさを引き出すこともあるということです![]()
それに、癖は簡単になおすことはできないので、
どう上手に使うかが大事です。
◆アンガーマネジメントも同じです。
怒りをなくしたり、怒らない人になることを
目的にしていません。
アンガーマネジメントは怒ってもいい
が
前提です。
しかし、問題となる4つの怒り方
(強度、持続性、頻繁性、攻撃性が高い)は、
要注意ですね。
「いかに怒りと上手に付き合うか」が
重要です![]()
考えを変える![]()
もう一点、「考えを変える治療法」についてですが、
認知行動療法は考えを変える
アプローチではありません。
認知行動療法は、
問題解決を手助けするアプローチで、
考えを変えるのは、
その手段でしかありません。
たとえば、「自分は無力だ」と考えているときに、
「無力だとは言い切れない」と
考えを変えたとしても、
気持ちが楽になるとは限りません![]()
それにある分野では確かに、
能力が足りないことだってあるでしょう。
確かに、
「こんなこと気にしないでいいよ」と
言われることがありますが…
自分が「気にしない、気にしない」と
考えようとすればするほど、
余計に「気にしている」自分がいます![]()
かえって、「気にする」のが、
強まっている感じですね。
ここで大事なるのは、
無力かどうかではなくて、
どのような問題のために、
自分が無力だと考えているかという点です。
確かにワタシは…
「自分が無力」「何もできない」
だけに焦点を当てて
しまっていたかもしれません![]()
無力かどうかと考えているだけでは、
問題に対処する方向に
進むことができません![]()
その問題を解決するためには、
「どこに、どう働きかければよいか」を
考える必要があります![]()
そうしたときに、
無力だという極端な考えから、
自由になって問題解決に進めるようにする![]()
それが、認知行動療法でいう「認知の修正」です。
大野 裕先生は学会で、
こうした話題を中心に話をして、
一定の理解を得られたそうです![]()
問題を解決するアプローチ(手段)として、
「認知行動療法」を使っていきたいです。
◆「自分の性格や癖を変える」考えを手放し…
自分の癖や性格と、
「どう上手に、つき合っていくか」![]()
毎日を穏やかに、楽しく生活していきたいです![]()