雄弁は大事であるが、沈黙すべき時やその効果を心得ているのはさらに大事である。沈黙を守るほうがすぐれた弁舌よりも効果的である場合のあることをいう。イギリスの思想家・歴史家、トーマス・カーライルの「衣装哲学」に見えることば。
故事俗信 ことわざ大辞典 小学館
話すことは、人と人とがコミュニケーションする上で重要なことであります。間違えれば争いにまで発展しかねません。
また、会話が弾めば、楽しいものであるし、自分にはない知識や考え方を他者から得ることが出来ます。
別な見方をするならば、話すことは己の外に向けられるもので、沈黙は己の内に向けられるものとしても理解できます。要するに、雄弁は外的なもの、沈黙は内的なもの、として捉えることが出来ると思います。
Speech を己以外との人との会話。とするならば、
Silence は己の内面に向けられたもので、良心、精神、魂への問い。この様な考え方も出来ると思います。
『青い鳥』で有名なメーテルリンクはエッセイ集『貧者の宝』の[Ⅰ沈黙]で、カーライルの「衣服哲学」(衣装哲学)を引用しています。冒頭から引用されたカーライルの言葉は1ページ以上にも及びます。その中の一節をご紹介しましょう。
モーリス メーテルリンク (Maurice Maeterlinck. 1862-1949)
「言葉もまた偉大ではある。偉大ではあるが、最も偉大なものではない。
スイスの銘にあるように、《雄弁は銀、沈黙は金》である。
あるいはこういい直した方がより適切だろう。
《言葉は束の間のもの、沈黙は永遠のもの》と。」
「貧者の宝」 モーリス メーテルリンク 著 山崎剛 訳 1995 平河出版社
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