Lover's Concerto -5ページ目

Lover's Concerto

花より男子の二次創作ブログです。
同名のサイトもあります






side Tsukushi


類に大嫌いって言っちゃった。

言ってしまったあとに後悔したって
遅いのは分かってる。

だって、記念日を忘られるなんて
思っていなかったんだもの。

類が普通の社会人じゃないってことは
頭でも理屈でも分かってる。

周りにあたしとのコトを認めて
もらうために睡眠時間を減らしてまで
必至に頑張ってくれてることも。

人と接することの苦手な類が
あたしとの将来を視野に入れて
一歩踏み出して努力していることも
見ていて分かる。

だから労わってあげなくちゃいけないのに
あたしは自分の感情ばかり優先して
酷いこといって傷つけた。










喧嘩して落ち込んでいるところに
上司に呼び出される。

うちの会社の専務、湯川 郁生さん。

綺麗な人を見慣れてるあたしでも
かっこいいなと思える人。

性格はどこか西門さんに似てる。

「……牧野、どうした?元気ないぞ
彼氏と喧嘩でもしちまったか?」

顔を覗き込むようにして
あたしに声を掛ける。

顔に、態度に出てしまったのかな?

「……はい。」

専務はあたしと類の関係を知っている。
そして、美作さんの従兄だったり、する。

大きな手があたしの髪を撫でた。

類以外で素直な自分を出せる人。
曝け出しても恥ずかしくないと思える人。

だから類との喧嘩の理由を
ぽつぽつと話し出す。

話を聞いてくれたあとポツリと呟いた。

「……類はきっと牧野に甘えてるんだろ?
お前なら怒らない、耐えてくれるって
タカを括ってるんだ。そうじゃないって
思い知らせるのも手の内だと思うけど?」

と、とんでもないアドバイスが
返ってきた。

整った美顔ににやりと浮かんだ
笑みに悪寒が走る。

やっぱ相談する人、間違えた……かも。

そうして突如呼び出された美作さん。

またかってあたしの顔見て呟く。

あたしたちの喧嘩に彼を巻き込むのは
実は初めてじゃない。

事情を聞いて類の恐ろしさを
身に染みて知っている彼は
一応専務の悪巧みをやめさせようとした。

そうしたら専務は真面目な顔で言った。

「……彼女に嘘の縁談をでっち上げる、
相手は俺。そのくらいすりゃ
マイペースな類でもさすがに焦るだろ?
それともその役お前がやるか?」

とんでもないと首を振る美作さん。

口には出せないけどいくらなんでも
巻き込むのは悪いよとあたしは思う。

専務は美作さんにお前はその偽の
お見合い場所に類を引っ張ってでも
連れて来いと命令した。

気の毒な美作さん。

嫌な役押し付けちゃうね。
ホント、いつもごめん。




だけど、あたしは類の気持ちを
知りたくて専務の悪巧みに
加担することになった。








社内ではずっと専務の後ろをくっついて。
わざとスキンシップを多目にして
やたらと触りたがる専務。

出張や営業にもついて回り
着かず離れずの行動をとった。

本当は腰に手を回されるのも
抵抗があったのだけど我慢していた。

パーティーにもパートナーとして
専務に同伴した

専務はいい男だと思うけど
異性としては意識できずにいた。

どっちかっていうと兄のような存在。

専務と行動するようになって
あたしの中の類の存在の大きさが
どれほどのものなのか
思い知った気がする。











あるパーティーへの同伴をしたとき
思いがけない人に遭遇した。

あたしのかつての恋人、道明寺司。

他の男性のパートナーをしていることを
知って超不機嫌な態度で
あたしを会場から連れ出す。

外に出て人目がつかなくなった
ところでなにやってんだお前は!
って怒鳴られる。

「……彼はあたしの上司よ、ここにいるのは
同伴頼まれたから。なんか文句ある?」

あたしも負けじと言い返す。
でも司の顔は見られない。

司はいっこうに視線を合わせない
あたしの顎に手を当てて無理やり
あたしを自分の方に向かせる。

「大有りだ!何でこんなパーティに
類と一緒じゃねーんだよ!」

「仕事だって言ったでしょ?
類は関係ない!第一そんな事情
司にだって無関係でしょ!」

久しぶりの再会だというのに
それもかなり気まずい再会だというのに
あたしたちは顔を合わせるなり
口論を始めてしまった。

思えば。

司とはこうやって言いたいこと
言い合うことが出来たのに
類とはそれが出来ない。

溜め込んで我慢して言いたいことも
素直に伝えられなくてもどかしい
想いをしている。

喧嘩もどちらか一方的で。

比べてしまってあたしはあまりの
差に唇をぎゅっと噛んで俯いていた。

「な、なんだよ……言い過ぎたゴメン
そんな顔、すんなよ。」

切なそうに歪む司の顔。

急に黙ってしまったあたしの
態度に慌てている様子。

「……類に約束破られて忘れられたの
あたしずっと楽しみにしてた。
忙しくて逢えなくても我慢してた
司には言いたいこといえたのにね
類には遠慮しちゃってなかなか
寂しいっていえないんだ」

「……泣くな。」

司の腕の中に抱き寄せられて
自分が泣いていることに気付いた。

あたしの身体を撫でる柔らかな手つき。
心地いい温もり。

安心できる場所……だった。

あたしの中で確実に時間は流れている。

それなのにこの夜は今包んでくれている
この温もりに縋りたい
……そう思ってしまっていた。

side Rui


なあ、それを言うのは反則だろう?

いつもは大好き、愛してると
可愛いらしく囁いてくれる
その声に大嫌いって言われた。

普段は冗談で呟くその言葉が
本気で言われているという現実を
俺は信じられなかった。





きっかけは些細なこと。

どうしても仕事を抜けられなくて
優先してしまった。

彼女……つくしはいつも約束を
反故にするたびにしょうがないねって
微笑うけれど瞳の奥は寂しそうで
何か言いたいことがあるのを感じていた。

困らせないようにと気を使って
一切何も言わなかった。

だから何かを考えてもなんでもないと
本心を打ち明けるのを躊躇う。

つくしの仕草を視線の隅に感じて
いたけれど気付かないフリをしてた。

だけど、ついに彼女の感情が爆発した。

その日は絶対に空けておいてねと
いわれていた日だった。
つくしは約束を強要するタイプじゃない。
我が侭を言って甘えてくれる女でもない。


それなのにそのときだけは
どうしてもと強硬に言い張って。
分かったよとだけ返事して
スケジュールを空けた。




でも……

案の定というか……

その日の朝になって……よりにもよって
父親からの呼び出し。
無視するわけにはいかずに彼女へ
謝罪のメールを入れた。





折り返しかかってきた電話。

ディスプレイには彼女の名前。
だからかかってきた電話の相手は
つくしだって分かったけれど。

恐る恐る通話ボタンを押した。

もしもし?と声をかける。

でも電話をかけてきた相手は
いくら呼びかけてもずっと無言で……
だけどその沈黙で俺は彼女の
怒りの深さが顔を見ないでも分かった。

「ごめん」

とりあえず約束が反故になったことを
素直に謝ってみる。

それでもやっぱり無言。

しばらくしていつも聞く
鈴のような可愛らしい声とは違う
低い小さな声が受話器の
向こうから聞こえてきた

「もう、いいよ…何度目だと思ってるの?」

もういいという割には怒ってるし…
だけど俺はその言葉でつくしの
態度の異変を感じ取った。

いつもと様子が違うんだ。
声も低いし怒りが露わになってる。

「今日が何の日だか忘れたとか
言わないよね?毎年一緒に
お祝いしようって約束したのに……」

少しだけ涙声が混じる。

それを聞いて俺は何で普段は
束縛しない彼女が強硬に我が侭を
突き通したかが理解できた。

今日は付き合いだした記念日なんだ。

そんなことにこだわるなんて
あいつもやっぱり女なんだと
妙なことに感心すると共に
今まで忘れてたことにどことなく
申し訳なさを感じる。

かける言葉が見つからなくて
黙っていると

「…………忘れてたんだね?」

と、怒りを押し殺したような
低い声が聞こえてくる。
図星だったから答えないでいると
電話はプツリと切られた。

慌ててかけなおす。
いくら鳴らしても出ない。
それでもしつこくかけ続ける。

何十回目かのコールでつくしは
やっと電話に出た。

電話に出たつくしは超のつく
不機嫌さで応対される。

「悪かったよ、ちゃんと今度も
埋め合わせするから。」

祈るような気持ちで俺はつくしに
話しかけた。

「それ本心で言ってる?こないだも
その前もずっとその前も……
この半年間ずっと同じこといい続けて
一度も埋め合わせされてないよ……?
今日……来てくれたら水に流そうって
思ってたのに……」

俺はそれを聞いて彼女がずっと
我慢していたということに気付いた。

だから……彼女が今日の約束に
賭けていたことを知る。

「もういい……から、無理にできない
約束なんてしなくていいから……もう……
期待しない、ただ待ってるの疲れたよ。」

疲れた……。

本当に疲れきった声が耳の奥に
張り付いて取れなかった。

呆然としてる俺に彼女は止めを刺す。

「約束しといて忘れるなら初めから
誘わないで、もう嫌だ」

最後のひとことが胸に突き刺さった。
何も反論できないまま電話が切れた。
機械音しか聞こえてこない携帯を
握り締めて俺は立ち尽くしていた。
_







社長と類と3人で午後の仕事に入った

直後だった。 


受付から内線で客だと連絡があった。


誰かと問うと専務の未来の嫁と

名乗る女性らしい。


類は気持ち悪っと呟き無表情になった。


類は冷たい声で自分にはそんな変な

自称婚約者はいないから追い払え。


今度来たら警察呼んでと淡々と告げた。


目の前でそのやり取りを見ていた

社長は腕を組んで考え込む。


「ここまで探し当てたか早急に

手を打たねば危ないな」


「そうだね、社長悪いんだけど俺と

つくしにもBDつけてくれない?

それから俺達は念の為ふたりで邸を出る」


「何言ってんだ、邸の方が安全だろう?」


「でも、従業員が多すぎるでしょ?

出入りし放題じゃないか」


本人そっちのけで話が進んでいく。


「目的の為なら形振り構わなく

なりそうじゃんあの女(ひと)」


「ちょっと待って、類

一体なんの話してるの?」  


思わず口を挟む。


だって、話が見えないんだもの。


「俺の事追いかけ回す執拗ストーカー女の話

父さんの権力使って海外に行くように

追い払ったんだけどどこで聞きつけたのか

俺たちのこと知って帰国するらしい。

予定切り上げてさっさと結婚式挙げて

パリに移住したいんだけどつくしが

順番ていうだろ?だから……それは

一応尊重したいしずっと言えずにいた」


バカね、そういうことなら遠慮しないで

言えばよかったのに


ちゃんとした理由があるなら

わたしは怒らないよ。


部屋の隅で小さくなっている類。


そんなに怯えなくてもいいのに。


「……そういうことなら予定を少し

繰りあげようか?先に子供作るとか

巫山戯たこと言ってたからそれは

ヤダって拒否したけどちゃんとした

理由あるんならいいよ」


わたしだって筋を通せば頑なにならない。


「本当に、いいの?つくしの嫌いな

勢いでにはならない?」


「だから、いいよって!

この先、誰かとそういうことになるなら

類とがいいもん

わたしじゃ類の力にはなれない?」


「司、じゃなくて?」


「怒るよ、類!わたしは類と!

結婚したいって言ってんの!」


勢い任せに声を荒らげて手も出た。


思いっきり頬っぺたを抓る。


まあ仕方ないよね?


つい最近まで拒んでいたんだから

信じて貰えなくても。


「……痛いよ、つくし」


それを思い出すと信じて貰えずに

いることが悲しくなってくる。


「ストップ!それ以上はつくしちゃんが

泣いちゃうぞ?泣かせたくないなら

どうするべきかわかってるな?」


黙ってみてた社長の横槍が入って

やっと類が動いた。


「……ごめん……やっぱ夢みたいで

ねえつくし本当に俺と結婚してくれる?」


「本当だから!女に二言は無いのよ!

確認が執拗いとやっぱり白紙にするから!」


それはやめてと類は照れ臭そうに笑った。


可愛っ!


目も口も溶けてなくなりそうな

満面の笑みを見せられてクラクラする。。


破壊力の凄まじい類の笑顔に

ち卒倒しそうになりながら手を取った。


「……結婚はするけど今キスは

ダメだからね!お父様見てるでしょ?」


恥ずかしくないのかと問うと

類は思い切り舌打ちした。


言ってる傍からの社長への悪態に

わたしは思いきり脹脛を蹴飛ばす。


「俺は司じゃないんだから暴力反対!」


「へえ?」


「デリケートなの!つくしのバカ……」

 

本気で拗ねそうな彼に吹きそうになる。


その日ば終業後まで大人しくしていた類。


真面目終わりまで仕事して残業する

ことなく上がれた。


早く二人きりになりたかったみたいで

地下駐車場急ぐ足取りは軽かった。


手を繋ぐのは社屋内ではずっと

我慢してきた。


わかりやすい類の機嫌に吹きそうになる


『待て』ができたご褒美に駐車場で

手を繋ぐのは許可してあげた。





「ねえ、帰ったらすぐ抱きたい」


照れてるくせに爆弾を落としてくる。


「ダメ」


「ムードぶち壊さないで」


「たって欲しいよ」


類はそっとわたしの手を取ると

熱く昂った場所をわたしの

手に擦り付けてくる。


「お願いコレ、鎮めて-」


「バ、バカじゃないのっ?

何てものをこんな時間から

そんなものおっ立ててんのよ

触らせるなんて最悪っ」


自分がそういう行為に異常なくらい

潔癖なところがあるのは承知してる。


「怒らないでよ……つくしにしか

反応してないってば……」


それは分かってる。


「家まで我慢するなら考える」


ここのところ仕事優先一緒にいても

類を構ってないし……

疲れて触れ合いすらもできてない。


「ホント?約束だからね?」


類の表情が明るくなる。


分かり易くて助かるわ。


さっきまでのしょげた表情を

思い出せばいくらかマシなんだけど。


さっきのは流石に堪えた。


言い出せずに困っていたんだろうなと

思うと強く言えない。


分かってはいる。


わたしに心配かけたくなくて

ギリギリまで黙っていたことくらいは

なんとなく想像できるから。