Lover's Concerto -27ページ目

Lover's Concerto

花より男子の二次創作ブログです。
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「いらっしゃい、あなたが牧野さんね?
初めまして類の母です。」

絶対何か言われるだろうと覚悟してただけに穏やかでにこやかな類のお母様の挨拶に
私は拍子抜けしてしまった。

あの緊張感はなんだったんだろう・・・?

「類くんも女の子を連れてくる
年になったのね~」

あくまでもにこやかなお母様。

道明寺のお母さんみたいに
怖い人を想像してただけに
その衝撃は凄くって。

隣りの類も同じだったようで
私よりも呆然としてる。

「……まだ紹介してないのに
何で名前まで知ってるのさ?」

類はふて腐れたような表情で
お母様に話しかける。

「あら?みんなご存知よ?あきらさんの
ご両親も総二郎さんのご両親も。」

げっ、嘘っ?
全身から血の気がサーッと
引いていくのが分かる。

「あの……?」

「1度お会いしてみたいと思ってたの
最近類くんの表情が明るいのは
あなたのおかげね?」

自分の息子を君付けする母親。
なんか想像と違って可愛い人。

「みんなで言ってたのよ?
お嫁さんにするなら牧野さんの
ような子がいいって。
そしたら類くんが牧野さんと
付き合いだしたって言うじゃない?」

「……そのみんなの中に司の
母親も入ってんの?」

機関銃のように喋るお母様に
類は呆れた表情のまま問いかけた。

「もちろんよ、逃がした魚は
大きいって嘆いてらしたわ!
あの楓さんにそんなこと言わせる
貴女にぜひお会いしたかったの」

類にそっくりな笑顔を向けられて
私は再び硬直する。

「こら栞さん、驚いているじゃないか
初めまして、類の父です。」

類が年を取ったらこんな感じだろうか?

銀縁のメガネをかけた
これまた類にそっくりなお父様が
私に挨拶する。

声がすごく似てるの。

私も慌てて初めましてと頭を下げる。

類はご両親どっちにも似てるんだね?

「で?呼びつけて話ってなんなの?」

そっけない類の声。

ちょっとだけ不意を突かれて
機嫌が悪そう。
私も緊張を忘れて呆然としたくらい。

「まあ、そう怒るなここに呼んだのは
牧野さんに会いたいうのもある」

私に逢いたいのが口実?

いきなり視線が合ってしまって
私の視線は緊張でまた彷徨ってしまう。

「類の方から何かいってくるまで
我々は黙認しようと思ってたのだが
お前に縁談が来て2人の真意を
確かめようと思ってな」

類に・・・縁談?

私と類は吃驚して顔を見合わせる。
類も初耳だったらしい。

「私たちはお二人の付き合いを
反対する気持ちはないのよ
類が選んだ人なら確かなんだから
干渉しないわ、でもね……」

お母様が口を濁す。
言いたいことは分かるし
私との付き合いは認めるけれど
結局家柄とかが問題なんだよね。

やっぱり道明寺家と同じなんだ。
私は汗ばむ手のひらを握り締める。

「干渉しないけどなんですか?
いいたいことあるならはっきり
いったらどうですか?
彼女困ってるじゃないですか・・・」

類が私の気持ちを代弁してくれる。
そっと汗ばむ手を類が握り締めてくる。

「2人が本気で将来一緒の道を歩もうと
してるならここに2人で住んで
それなりの教育を受けてもらおうと
思ってな。これは提案だから
無理強いはしない」

そういって笑いながら目を合わせる
類のご両親。

「やっぱり反対される?」という
思考は遮られた。

「本当ですか?」

類がご両親に初めて視線を合わせた。
ずっとしていた仏頂面もわずかに
笑顔に変わっている。

「前はこんな風に自然と笑顔を
見せる子じゃなかったのにね
こんなに表情が豊かになったのは
牧野さんのお陰なのね」

素直に喜びを表現してる類を
見ながらお母様は微笑む。

「いいえ、私は何も……」

「これからも類をお願いします」

急に頭を下げられて私は返答に困る。

(交際を)反対されて別れさせられると
思い込んでただけに戸惑いが大きくて
すぐに返事ができない。

「わ、私でよければよろしく
お願いします」

そういって頭を下げるだけが
精一杯だった。





4人で昼食を取った後
仕事があるからと類のご両親は
会社に戻っていった。

私たちは何もすることがなくて
2人で類の部屋に行った。

思いもかけなかった事態に
私たちは認めてもらったという
嬉しさよりも本当なのだろうかと
いう戸惑いの方が大きくて
すぐには現実を直視できない。

2人してベッドにもたれかかって
ボーッとする。

「……吃驚したね?私てっきり
別れさせられるのかと思った」

ようやく言葉を発した私に
類は振り向く。

「そんなことさせないよ
それにしても心臓に悪い」

ぐったりとベッドに突っ伏す
類の髪を私は撫でる。

「私なんか類をよろしくなんて
いわれちゃったよ」

溜め息と共に漏れた言葉に
しまったと思う。

「…………嫌なの?」

子犬のような縋る視線で見つめられて
きょう初めて血液が逆流するような
恥ずかしさを感じた。

「嫌っていうか……えっと、あの……」

一緒にいられて嬉しいデス……と
小さな声で付け加える。

「俺も……スッゲー幸せ」

囁きと共にこぼれた笑顔に
心臓がトクンと呼応する。

次の瞬間には抱き寄せられて腕の中。

額に優しい口付けが降りてくる。

「ずっと手側にいてくれる?」

切なげな類の囁きに私は彼の
唇にキスをすることで答えた。
しっかりと抱き合ってもう一度
深いキスをする。

私だって今の類と離れたい
気持ちはない。

できることならこの先も一緒に
歩んで生きたい。
希望じゃなくて願望なの。

貴方がいるなら他には
何もいらない……。

 




あの一泊旅行の後、道明寺が
みんなに見送られて出国した。
その日に2人だけの小旅行のことが
バレてえらい恥をかいたけど
類があっさりと肯定したために
思い切り冷やかされるわ桜子達には
質問攻めにされるわで大変だった。

そんな私たちを道明寺が見てヒトコト。

ちゃんと仲直りできてよかったなって。

胸がきゅんと締め付けられて
泣きそうになった私を類がまたもや
みんなの前で私を抱きしめる。

暴れる私をよそにみんなの前で
交際宣言されて……その後は……
思い出すだけで頭イタい。

あまりの子供っぽさ全開の類に
みんな呆然としてた。

「司を調教しただけじゃなく
類までも懐柔したか」
と……さんざんからかわれた。

でも類が道明寺と違うのはそんな
挑発には決して乗らずに飄々と
恥ずかしいことをいっちゃうとこ。

このときも私を穴があったら
消えたいようなこっぱずかしいことを
さんざんのたまった。

道明寺はからかわれたら
ムキになって逆切れしてたけど。

搭乗時刻になって道明寺が
ゲートをくぐる。

私が好きだと思ってた笑顔を残して
道明寺は振り返ることなく
自分の道を進んでいった。







私の元にだけなぜか3月30日
帰国するって連絡が来て
サプライズで道明寺も一緒に
類の誕生日をみんなでお祝いした。

あの時の類の顔ったら
思い出すだけでおかしい。

それでもなんとか類の機嫌も
悪くならずに済んでホッとした。

そうして季節はすっかり春になって
私も大学生になったとき類がいった。

明日家に来て欲しい……って。
どうしてと訊ねるとご両親に
呼ばれたんだという。

脳裏に道明寺のお母さんとの
初対面の時のことが浮かぶ。

類は春休みになってからお父さんの
お仕事を手伝い始めていた。

だからあまり頻繁には会えなくなっていた。

こんな風になって私は
ようやく思い出した。

類は花沢物産の後取り息子って
いう現実を・・・
そして同時に彼も道明寺と
同じ世界の人間なんだということも。

緊張で震える私を類は優しく
包んでくれた。

大丈夫だから心配しないでって。



そして、類の家を訪ねる日が来た。

いいよといったのにプレゼントされた
服に手を通して迎えに来てくれた
類と共に彼の家の車に乗せられた。

車の中で類はずっと震える
私の手を握っていてくれた。

決して暖かくはないけれど
不思議な温もりを持つ類の
手に包まれて暴れるように脈打つ
心臓もおとなしくなっていた。

今私の住んでいるアパートから
類の家はそんなに離れていない。

車だとあっという間に到着してしまう。

類はいつまでも俯いている
私の顔を自分の方に向けると
そっと両頬に手を添えて
小さな口付けを落とした。

「大丈夫だから」

そんな訳ないのに類の言葉が
妙に安心できて黙ってうなずく。

「アンタの心配してること分かるよ
でも絶対司のときの二の舞には
絶対しないから俺のこと信じて?
もし何かあってもアンタをまもる」

今信じられるのは類のこの言葉だけ。

前は守られるなんてイヤだって
ずっと思ってた。
それは道明寺と対等で居たいと
思ってたから。

でも、今は素直に類を信じようという
気持ちになっている。

だから「ありがとう」という
言葉が素直に口から出た。

「つくし、自身持ってよ!
俺が本気で好きになった子だよ?
そうじゃなきゃキスしたり
抱きしめたりこんな風に家に
連れてきたりはしない」

無理に変わろうと背伸びしなくていい
……といわれて私はその言葉を
素直に嬉しいと感じていた。

尻込みしていた私の心も類の
優しい言葉で懐柔されていく。

「わかった、会ってみるね?」

道明寺のお母さんとは最悪の
出会いだったけれど
最近じゃ帰国するたびに夕食に
招かれたりと私の存在を認めてくれた。

類のご両親には初対面だからは
どんな方たちなのかは知らない。
でも会ってみたいと思う気持ちはある。

「じゃあ、いこうか?」

「ちょっと待って!類に
ちょっとだけお願いがあるの!」

差し出された手を繋いで
私は門をくぐろうとする類を
呼び止めてお願いした。










「類坊ちゃまお帰りなさいませ」

玄関でお手伝いさんたちの
出迎えを受ける。

「牧野様、いらっしゃいませ」

突然私にも挨拶をされて一瞬躊躇う。

類にリラックスといわれたのを
思い出して笑ってみせる。

「お邪魔いたします。」

軽く会釈をして足早に
類の後を着いていく。

「……父さんたちは?」

類がすれ違うお手伝いさんを
呼び止めて訊ねる。

「リビングにいらっしゃいますよ
お茶持って参りますね。」

そう居場所を教えてくれた
お手伝いさんは私に頭を下げると
足早に廊下を歩いていってしまった。

類は家の中でも私の手を
離そうとしなかった。
私も手のひらに汗が滲むほど
強く手を握り返していた。

不安げに類を見上げると類は
私の視線に気付いたのか
にこっと微笑むとさっきの
車の中でのように唇にそっと
触れるだけのキスをしてくれた。

「……失礼いたします、類です」

中からどうぞという声が聞こえる。
私たちは手を繋いだまま
部屋の中へと入っていった。

緊張で胸が潰れそう。

でも大丈夫。
類が側にいてくれるから。

類が私だけにくれた微笑みに
私も微笑み返すと私は類のご両親に
「初めまして」と頭を下げた。

 


一緒に迎えた二度目の朝は
初めての時よりも相手への
愛しさは割り増しで。
大好きな人の腕の中で目覚められる
幸せを全身で感じられる。

照れくささはあるけれど
至近距離にある類の寝顔は
天使のようで昨日の激しさは
微塵も感じられなかった。

全身で感じてる類の温もりを安心できる
ものだって体中が認識してる。

昨夜のことを思い出す。

この綺麗な顔に自分から口付けてた。
愛しさがこみ上げて止まらなくなった。

優しいキスも、狂おしいくらい
激しいキスも私に触れる
しなやかな指先も、しっかりと
抱きしめてくれた逞しい腕も
汗ばむ身体の体温も全て感じた。

恥ずかしいけれど心身ともに
ひとつになれたことを悦んでいる。
この気だるさが今は心地よいくらい。

類を起こさないようにベッドから
降りるととりあえず脱ぎ散らかされた
服を集めた。

「……つくし?」

小さく名を呼ばれ振り向くと
私の腕を引っ張って抱き寄せられて
唇に小さなキスを落とされた。

「隙アリ、おはようおはよう、つくし」

「る、類、アンタ、起きてたの?」

突然の抱擁とキスに頭の中が
パニックを起こす。
同時に体温まで上昇するのが分かった。

そんな嬉しそうな子供みたいな
顔されちゃ怒れないじゃないのよ……。

「もう!」

私は結局この人の笑顔には弱いんだ。

だって私が見つけた初めての
宝物だから……。

「……なんでそんなに甘ったれなのよ」

腕を解こうとはせずに私が
問いかけると

「ここには俺とつくししかしか
いないからウルサイのいないし」

何したっていいでしょと微笑む
類の笑顔に私は呆れつつも
可愛い独占欲にくすっと
笑いが込み上げてくる。

笑いながらそのままの体勢でいると
不意に視界が傾いて。

視界いっぱいに類の顔が映る。
背中にはシーツの感触。

いつの間にか押し倒されていた。

「いや、昨夜あんなにし……たじゃない・」

私はこのとらされた体勢が何を
意味するか瞬時に悟って小声で呟いた。

「やだ、足りないもん」

「どう言う理屈よ~、それ……んっ」

最後まで言い終わらないうちに
類は再び唇を重ねてきた。
諦めたように私は目を瞑ると
類の首に細い腕を巻きつけて
シーツの海に沈んでいった。










午後、昼食を取った後
電車に乗ってみたいという
類の要望に応えて
別荘の近くの最寄り駅をしらべて
そこから2人きりで戻ることにした。

切符の買い方もよくわからない
類に一から丁寧に教える。
そのときの類の顔ってば小さな
子供みたいで可愛かった。

こんな類、みんな見たこと
あるのかな?

不意にみんなに黙って道明寺の
家から抜けてきたことを思い出す。
道明寺にはいったからちゃんと
教えてくれてるとは思うけど。

かばんを漁って携帯電話を出すと
電源を入れる。
いれた瞬間にメールの着信が
まとめてきた。

慌てて開封すると桜子や西門さん
美作さんなんかから交互に入っていて。
その数はおよそ30通。

「つくし、何してんの?」

ウキウキした様子の類が私の
電話を覗き込む。

「類……みんなに連絡した方が良くない?

こんなにたくさんメールよこすってことは
道明寺が伝えてないんだよ」

私がそう口にすると類の顔が
とたんに不機嫌に曇る。

やっぱり『道明寺』って
名前は禁句だったかな?

恐る恐る顔を上げると至近距離に
類の顔があってにこっと
微笑んだかと思うと
いきなりキスで唇を塞がれた。

「なっ!なにすんのよっ!!!」

電車の中だというのについ
大声で叫んでしまった。
悪びれた様子もなく天使の微笑みを
こぼす類にそれ以上怒れなくなる。

司のこといったら口塞ぐからね?」

にっこり笑顔で脅されてあまりの
衝撃に絶句してしまう・・・

はっと我に返って思い出したように怒る。

「バカッ!ここどこだと思ってんのよ!?

普通の人はこういうとこで
そういうことしないのっ!」

さらに大きな声が出てしまう。

「こういうことってキス?
……だって外国じゃ」

「ここは日本よっ!大体子供だって
乗ってるのに精神衛生上良くないの!」

類のおとぼけ発言を無視して私は叫ぶ。

ああ、天然は疲れる。

「つくしの方が煩いよ。みんな見てる。」

言われて周りを見ると側にいる人たちは
私たちを興味深そうに見つめていた。