Lover's Concerto -13ページ目
「ねえ、司、知ってる?
この桜の木の下でね花が満開のとき
恋人同士が愛を誓うとずっと
一緒にいられるんだって」
「何だ、お前信じてるのか?」
からかうような口調。
「いけない?それとも司は
あたしと一緒にいたくないの?」
「そんなことは一言も言ってないだろ?
じゃあ試してみるか?」
拗ねるあたしに彼は慌てて
取り繕うように声をかけてくる。
照れ屋な彼は首まで真っ赤に染めて
あたしを抱き寄せた。
あたしはその温もりに閉じ込められて
そっと彼の懐へ顔を埋めた。
「ずっとお前と一緒にいたい
俺が帰ってきたら結婚しよう
待っててくれるよな?」
懐に顔を埋めたまま彼の声が
静かに降ってくる。
「……うん、待ってる
だから早く帰ってきてね?」
あたしは顔を上げて彼の目を
まっすぐ見上げて返事した。
テレながらもあたしの言うことを
聞いてくれた彼が愛しくて堪らない。
顔を見た瞬間、いろんな感情が
混ざり合って堪えていた
涙が溢れてくる。
絶対に泣かないって誓ったのに
涙は言うことを利かなかった。
「バカ…泣くなよ…離したくなくなるだろ?」
あたしのこぼす涙を掬い取るように
顔に繰り返される乱暴な口調とは
裏腹な優しい口付け。
背中に回された手の力が
僅かに強くなっていく。
いつも喧嘩ばかりしてた。
想いを通わせあってからも
下らないことで睨み合って
怒鳴りあってた。
そんな日々が懐かしい。
周りを巻き込んで大騒ぎして
呆れさせても最後は仲直りして。
ごめんなさいのキスもたくさんした。
離れるなんて思いもしなかった。
ずっと一緒にいられるって
数日前まで思っていた。
「泣くな、お前には笑顔が
似合うんだからずっと笑ってろ」
そういって見せられた笑顔に
不覚にも胸が高鳴る。
あたしは涙を拭うと涙を堪えて
精一杯笑ってみせる。
泣き笑いのあたしの顔を見て
彼はぷっと吹き出した。
「へんなかお」
なんか腹が立ったから身体を
震わせて笑い出す彼の頬に
不意打ちのキスをしてやった。
ポカンとあたしを見下ろして
固まる彼にあたしも同じ言葉を
そっくりそのまま返した。
「お前、泣くか笑うか…
どっちかにしろよ」
正気に戻って呟かれた彼の言葉。
恥ずかしくなってちょっと離れて
後ろを向いてたら腕を掴まれて
抱き寄せられて唇が重なる。
いつもよりも長いキスにちょっとだけ
酸欠気味になる。
名残惜しげに唇を離したあと
無言で抱き合う。
3時間後、彼はNYに向かって
独り旅立った。
見送ることが精一杯で先のことなんて
考えもしなかった。
あたしはこの時、約束を果たすことが
できなくなるなんて思いもしなかったんだ。
ときどき夢に見る。
少女のときに大切な人と交わした
小さな約束。
今思えばなんて幼い恋だったん
だろうって思う。
でも笑い話にするには辛すぎる。
少なくともあのころのあたしは
本気だったから。
幼いと分かっていながらも本気で
その相手を愛していたから。
だから笑い話にはできない
すいません。
こちらのブログでは39話が
抜けていることに気付きました。
サイトの方ではきちんと
upされているので気になられる方が
もしおられましたら
そちらでお読みいだけると幸いです。
ここでアメ限になってる記事には
鍵がかかっています。
そちらの鍵につきましては
ヒントをブック内に後ほど
記載しておきますね。
結婚式の朝。
私はいつも通り類の腕の中で
目を覚ました。
窓の外を見ると雲ひとつない
晴天で綺麗に晴れていた。
私は一足先にベッドから出ると
顔を洗いに洗面所へと足を運ぶ。
重くなった身体のせいで
移動するのも一苦労だった。
「類~起きてっ!」
いつもの調子で類を起こす。
身体をゆらゆらと揺さぶり
目を覚まさせる。
寝ぼけた類に抱き着かれ
キスまでされる。
「ちょっと!やめてよっ!」
鳩尾にパンチを一発浴びせると
ようやく類の攻撃はやんだ。
痛みで蹲る類。
「つくし、ヒドイ」
「寝ぼける貴方が悪い!
赤ちゃん潰れるでしょッ」
何度言っても寝起きの抱き着きは
やめてくれない。
それならば全力で阻止するしかなくて
少々乱暴になってしまうのは
仕方ないと思う。
「……おはよ」
「ん……」
めっちゃ機嫌悪そう。
「しっかりしなさいよ!
今日は何の日?」
「ん……結婚式」
「寝ぼけてる場合じゃないでしょ?
たったらちゃんと起きて!」
「……あい」
類がしっかり覚醒したのを見て
私は類の唇にキスをする。
「またやってんのか」
美作さんの呆れた声。
「全く、類は……」
「うるさいよ」
「毎朝やられてんのに懲りねぇなお前」
「だからうるさいって!」
分の悪いところを親友に見られたからか
かなり不機嫌である。
「牧野もお腹に子供抱えてんだから
暴力に訴えんのやめろよ」
「口で言ってわかんないから
手足が出るんでしょッ?!」
「……嫁に行く日の朝くらい少しは
淑やかにしとけよ」
小声でボヤかれて落ち込む。
すると凹んでた類が無言で
美作さんを蹴った。
「つくしを泣かすな」
「泣かせてないだろ!」
「もうやめてよ、大丈夫だから、類」
「ホント?」
「うん、だから蹴っちゃダメ…ね?」
私が宥めると類はやっと警戒を解いた。
「……ったくこの暴力カップルが💢」
深い溜め息付きで再度ボヤかれる。
「……アンタを蹴ってはないでしょうが💢」
そのまま式場に行く準備を整える。
会場は厳重に守られ部外者の出入りを
制限されるなどかなり重厚に
守られていた。
私と類は裏口から式場のホテルへと
入り控え室に通される。
少しの間でも離れるのが不安だった。
「そんな顔するなよ……」
「だって…」
「すぐに会えるよ、花嫁さん」
それぞれの控え室へと別れるため
類とはここで一旦別れる。
「綺麗にしてもらってきな?」
「うん」
額に送られたキス。
「ドレス、俺が選んどいたから」
コッソリと耳元で囁かれる。
結局あれからスケジュールが合わなくて
衣装合わせはしていない。
それでも時間を割いて花嫁衣装を
選んでくれたことが嬉しかった。
もう一度類は私にキスをすると
宛てがわれた部屋へと向かった。
入れ替わりに桜子と滋さんが
控え室にやってくる。
「すごいね、表の警備……
花沢、美作、道明寺のSPまでいるよ?
それに警視庁のSPまで混ざってない?」
「え?何よ…そんなに厳重なの?」
「うん私達でさえ顔パスになんなかったもん」
「もう、司のバカ…相変わらずやること
ド派手なんだから」
「愛されてるねぇ~つくしちゃん」
「そうですよ、さっ準備始めますよ」
桜子はそう言って私の身体を
鏡台に向けた。
いつかのバーティの時も桜子が
メイクしてくれたっけ。
「ありがとう」
私はそう言うと気づかれないように
下を向いて零れそうになる涙を堪えた。

