2.忘れられない想い | Lover's Concerto

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花より男子の二次創作ブログです。
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彼のいった4年で迎えに来るって

言う言葉をずっと信じて待っていた。


でも彼が向こうへ行ってから

一度も連絡はなくて。


もう終わったと思ってあたしも

特に連絡しなかった。


ただ時が満ちるのをずっと

待っていた。


ときどき、雑誌やテレビで姿を

見ることがある。


スクリーンや文字を通してでしか

あいつの近況を知ることは

できなかった。


何度か連絡を取ろうと試みては

みたけれど全部取り次いで

もらえなかった。


あたしはあいつの帰りを待つと

決めてから自分なりにあいつに

つりあうよう努力してきたつもり。


生まれは変えられないけど

経歴はいくらでも積むことはできる。


でも結局約束の4年目が過ぎても

あいつは帰ってこなかった。


思えばあの場所で誓い合うの

嫌がってたもんね。


あたしが泣くからしぶしぶ

誓ったって感じだった。


あたしは毎年春になるとひとりで

あの桜を見に行った。


そして……。


祈ることは毎年変わっていった。


最後に行ったときは。


あいつを早く忘れさせてくださいだった。


風で枝が揺さぶられて枝が凪いだ。


大丈夫だよ、きっと会えるよ


……って慰めてくれるみたいだった。


そのうちあたしはその桜の木さえ

見に行かなくなった。


そうしてさらに6年の月日が流れた。


その間も彼、道明寺からの

連絡は一切なかった。


もうあの約束のことは頭の奥に

閉じ込めて思い出さないように

蓋をしていた。


あれから10年が経った。


英徳を卒業したあとあたしは

小さな広告代理店に就職した。


今では自分の下に何人も

部下を持つ身分。


いわゆるお局になりかけている。


それでもみんな仲が良くて

上司とか部下とかの境界線がなくて

楽しい場所だった。


職場に泊り込んでアパートには

帰れないような仕事のときもある。


小さな会社だからこそ社員の

団結力が強かった。


」牧野先輩!」


どうしたの?と振り向くとあたしの

すぐ後ろに後輩が立っていた。


「お、お電話です…あの…花沢物産の副社長さんていう方から。」


類?


何であたしの勤めてる会社知ってるの?

F4とは先に彼らが学園を

卒業してから一切連絡を

取っていなかった。


生活するのに精一杯だったのと

向こうもそれぞれ家業を

手伝い始めたから。


彼だって風の噂じゃパリ支社に

赴任したって聞いた。


そんな類があたしにいったい

何の用事だろう?


あたしは慌ててオフィスに戻って

受話器を握り締めた。


「も、もしもし?」


「牧野、すぐに来て欲しい!司がっ!」


久しぶりに聞いたその名前に

あたしは放心してしまう。


「……ど、道明寺が……どうしたの?」


震える声で聞き返すと花沢類は落ち着いて話を聞けという。


良からぬ不安がわたしを包む。


冷静沈着な彼がこんなに慌ててる

ことが珍しい。


「刺されたんだ……」


「……は?またっ?」


一瞬ポカンとしてしまった。


「半分はあんたのせい」


その後の言葉であっさりと我に返る。


「どうして10年も会ってないのに

あたしのせいになるのよ!?」


思わず大きな声を出してしまい

慌てて口を噤む。


「司、まだあんたのこと忘れてないぜ?

婚約断ったら…逆上した

女にやられたって話だ。」


それが本当ならどうして今まで

1度も連絡くれないの?


「……冗談よしてよ!あたしたち

10年も会ってないんだよ?」


思わず声が荒くなっちゃう。


「本当に?」


さすがにあたしの剣幕に

類も変だと思い始めたみたい。


「当たり前でしょう?ずっと連絡も

取らなかった人といまさら何の

関係があるっていうのよ?!」


八つ当たりするように言い放つ。


類は何も悪くないのに……


「……牧野が怒る気持ちは分かった

とりあえず話聞いて……よ」


そういわれて今日仕事終わるころ

迎えに来るからと一方的に言われ

電話は切られた。


その日、1日動揺が凄まじくって

仕事が手につかなかった。


取り返しのつかない失敗をする前に

部下に仕事を代行させた。


あいつが縁談断って相手の

女性に刺された?


ありえない!


だってあたしたちはもう……

終わったはずじゃなかったの?


一番嫌な自然消滅っていう終わり方。


だったらどうして?


頭の中がぐちゃぐちゃだった。


でも、類の話だけは聞いてみようと思った。

きっかり定時に花沢家の車が

会社に迎えに来た。


社ビルの前に高級車が停まって

みんな驚いたように振り返っていく。 


運転手さんがいうにはあたしを

先に迎えに行ってそれから

類を迎えに行くという

指示があったという。


うちの会社から花沢物産本社まで

そんなに時間はかからずに到着した。


通用口に車を回すと類が

車に乗ってきた。


「……久しぶり、牧野」


「久しぶりじゃないわよ!」


緊迫した電話寄越してなんなの?

その飄々とした態度は!


「そんなに怒るなよ……自分の

彼氏のことでしょ?」


「冗談よしてよ!あたしはいつまでも昔の男を待ってられるほど

若くもないのよ?!」


道明寺を彼氏だろといわれて

妙に腹が立つ。


この人にだけは絶対それを

言われたくなかった。


「だったらいい人見つけて

さっさと結婚すりゃよかったでしょ?

独身でいるのはあんたがまだ

司を待ってるからでしょ?」


痛いとこを突かれてめちゃくちゃな

反論をしてしまう。


「待ってるわけじゃないよ!

あたしはひとりが好きなの!」


こんなに感情剥き出しで

怒鳴ったのって久しぶりかも。


「あんた……声でかい」


うるさそうに耳をふさぐ

ジェスチャーをする類。


「うるさくて悪かったわね!」


そう怒鳴って横を向く。


あたしは怒ってるのよ!


ん?そういえば誰かのことで

こんなに腹を立てるのも

久々だったわ。、


「司のことなんだけどさ」


徐に話を切り出し始めた類。

あたしは怒っていたことも

忘れて類を見る。


「あいつさ、ずっと頑張っていたよ

早く牧野を迎えに行きたいって。

大学も3年で卒業してMBAの

資格も取って……でもあんたを

約束どおり迎えにいけなかったのは

親父さんが亡くなったからなんだ。

お袋さんまでもが心労で倒れて

アンタを迎えにいくどころじゃなかった。

突然、全部を継いだろ?

すごく大変だったみたいだよ。

庇う訳じゃないけどそんな所に

アンタを呼んだら要らぬ苦労

させちまうからって……」


道明寺……少しだけ心が痛む。


そんな大変なときにあたしのことも

ちゃんと考えてくれてたんだね?


連絡をしなかったのはあいつなりの

思いやりだったの?


あいつはいつだってそう……。


素直に感情をぶつけてくると思えば

気持ちを言葉にして伝えるのが苦手。


「あいつさ、いくつも縁談を蹴ってるんだ。政略結婚だけは絶対しないって

でも今度のだけが相手が悪くて」


バカじゃないのって言いたくなった。


あのときの約束を思い出して

目頭が熱くなる。


そして何も知らずにただじっと

あいつを待ってただけの自分の

行動力のなさを呪いたくなった。


「あたしは、あいつに会う資格なんて

あるのかな?」


思わず呟いた。


あたしは信じて待つどころか

気持ちまで疑った。


そんなあたしが彼と対面……

してもいいのかな?


そうしたら類はあたしの気持ちを汲んで

背中を押してくれた。


「会ってやりなよそれで許して

やって欲しい。」


そっと抱き寄せられる。


涙を見せたくなくてあたしは

類にしがみついた。


いつまでも成長しない自分にうんざり


それでも見捨てないで逢いに来てくれた

類の気持ちが嬉しかった。