映画とcoffee、ときどき妄想 -6ページ目

映画とcoffee、ときどき妄想

     ≪そろそろ映画館に行きたい・・・・≫ 

監督:エメラルド・フェネル
製作:マーゴット・ロビー、ジョニー・マクナマラ、トム・アカーリー、ベン・ブラウニング、アシュリー・フォックス、エメラルド・フェネル
製作総指揮:キャリー・マリガン、グレン・バスナー、アリソン・コーエン、ミラン・ポペルカ
脚本:エメラルド・フェネル
撮影:ベンジャミン・クラカン
プロダクションデザイン:マイケル・T・ペリー
音楽:アンソニー・ウィリス
出演、キャリー・マリガン、ボー・バーナム、アリソン・ブリー、クランシー・ブラウン、ジェニファー・クーリッジ、ラヴァーン・コックス他




エメラルド・フェネルがオリジナル脚本で監督した初長編作で、アカデミー脚本賞をはじめ数々の映画賞に輝いた衝撃の復讐サスペンス。



評価★★★★☆



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[STORY]

元医大生のキャシーはある事件をきっかけに医大を中退し、昼間はカフェの店員として働き、夜にはバーに繰り出し、泥ったフリをしては、言い寄って来た男たちに容赦なく制裁を下すという過激な行動を繰り返していた。そんなある日、カフェで大学時代の同級生で小児科医のライアンと再会する。



[IMPRESSION]ネタバレ注意!

アカデミー賞で話題になった作品なので、見ておかないと。
個人的にはお気に入りの一つになりました。
「Promising young woman」=「前途ある若い女性」というタイトルです。



元医大生だったキャシーは、昼間はカフェ店員をし、夜になるとクラブに繰り出していた。
泥酔したふりをして、男たちの誘いを受け、その気にさせておいては、急に「素」に戻り、厳しい声で男を叱責したり問い詰め、撃退していく。
そして自宅に戻ってはノートに撃退してきた男の数を記録していく日々を送っていた。



ある日、カフェでアルバイトをしていると、偶然、医学部時代のクラスメートのライアンがやってくる。
2度目の来店時には、ライアンがキャシーに猛アプローチし、2人はデートをすることに。



ダイナーでランチ中、医学部時代の同級生、アル・モンローという男が結婚すると聞き、キャシーは固まってしまう。
このアルという男こそが彼女の制裁をさせる原因となった男だった。
アルはかつてキャシーの親友だったニーナに性的暴行を加え、自殺に追い込んだ張本人だったのだ。

その事件は、ニーナが医大生らのパーティで酔い潰れ、アル・モンローに部屋に連れ込まれ、何度も友人達の前でレイプされるというものだった。
訴えたもののニーナも泥酔していたという理由からアル・モンローは処罰されなかったのだ。
このパーティーにキャシーは行っていなかったため、彼女を助けられなかった事をキャシーはずっと悔やんでいたのだった。
その事件以来、ニーナは一変し、大学を辞め、キャシーも中退したのだった。

ライアンからアルの結婚を知ったキャシーは、すぐにSNSでニーナの自殺の背景を調べ上げ、復讐を開始。

1人目のターゲット、



ニーナを間接的に追い詰めたマディソン。
彼女をランチに誘ったキャシーは、ニーナの件でマディソンを責める。
すると彼女は「泥酔するほど飲んでいた彼女が悪い」と言い放つ。
その後もキャシーはマディソンに、泥酔するほどお酒をどんどん飲ませ、ある男を雇って、彼女をホテルに連れ込んでもらう。
彼女が目を覚ますまで男に居てもらい、「何かあったかも」と思わせるシチュエーションを作り上げた。
不安に駆られたマディソンは何度もキャシーに電話をするも、キャシーは電話に出ず、不安を煽っていった。

2人目のターゲット、



ニーナの事件をもみ消した医学部のウォーカー学部長。
前途のあるアルの将来をつぶすわけにはいかないとし、ニーナの件を問題視しなかった。
キャシーは、「あなたの娘を知らない男に託し、2人きりにさせた」とウォーカーに告げる。
そして「被害にあったのが大切な人、家族だったらどうする?」と。
ウォーカーは、かつてニーナに対して行った振る舞いを反省し、キャシーに謝罪するのだった。
(実際には娘さんは1人っきりでカフェにいたのでしたが・・・)

そして3人目のターゲット、



ニーナがレイプ事件を告訴できないようにしたグリーン弁護士。
彼は数々の事件を金目当てで示談にしてきた弁護士だった。
キャシーがやってきたとき、彼は「待っていた」と話す。
長年彼は罪の意識に苛まれ、精神を病んでしまっていた。
毎晩眠れないと話す彼に、キャシーは「あなたを赦す」と伝え、帰っていくのだった。
(外で待っていた制裁人には報酬だけ払って帰らせるのだった)

この一件でキャシーは、前を向いて生きようと決意。
しかしそんなある日、マディソンがやってきて、「あの時の動画が残っている。これを渡すからもう連絡してこないで」と言って帰っていった。



そこには犯されているニーナの姿とそれを楽しんでみている男たち。
その中にはライアンの姿も・・・・。
キャシーはライアンの元に行き、動画を見せて、これを拡散されたくなければ、アルの独身最後のパーティーの場所を教えるように強要。



キャシーは露出度の高いナーススタイルでアルのパーティーに出向く。
誰かが呼んだストリッパーだと思った男たちは疑いもなくキャシーを中に招待。
そして他の男たちを酒で泥酔させ、アルを2階に連れていく。
プレイと見せかけてアルを手錠で縛り、あの事件の事を追及し始める。
徐々に不安になっていくアル。



そしてアルの人生にニーナの名前を付きまとわせるために、アルの身体にニーナの名前を彫ろうとしたキャシー。
しかし、その時、アルの片方の手錠が外れ、アルは力任せにキャシーを枕で窒息死させるのだった。



そこにやってきた友人と共にキャシーの遺体を燃やし、アルは何もなかったかのように結婚式を行うことになる。



その頃、キャシーの実家では捜索願が出され、警察がライアンの元にもやってくる。
当然ライアンは「数日前に別れた。彼女の行き先は知らない」と言う。

しかし彼女の復讐はこれからでした(^-^;
自分が死ぬかもしれない事を想定していたキャシーは、グリーン弁護士に遺書と動画を送っていたのだった。
もし私が行方不明になったら、これを警察に届けてほしいと。
キャシーは彼が正しいことをしてくれると信じていたのでしょう。

アルの結婚式当日。
警察がやってきて、アルは殺人容疑で逮捕されました。
そしてライアンの携帯には、キャシーからの予約メッセージ。
「これで終わりだと思った?」と・・・。

キャシーの復讐はかなり独特な感性のものでした。
傍観者も加害者になりうることを強く感じました。
彼女の、暴力なしに加害者に被害者の気持ちを追体験させるというリベンジにもセンスを感じつつも、彼女の人生の全てがこれで良かったのか、と心苦しくも感じる作品でした。

あ、ライアンとの楽しい日々や実家の両親に紹介した下り、ライアンに夜の姿を見られちゃった件、などははしょっています(笑)