カンボジアの地雷原の話 | コーヒーブログ

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福井県小浜市にある珈琲屋すいしょう(旧喫茶SVZ)店長のブログです。

日曜午前の観音市で、カンボジアの地雷の話を聞きました。

地雷のことについては全然詳しくないですし、ポル・ポト政権についても生半可な知識しかないので何も言えません。
ただ、お話し会の場でも何人かがおっしゃっていましたが、原発問題に似ている部分が確かにあります。

・地雷原である危険な場所に住み、なぜ引っ越しをしないのか。

 →単純にお金が無いことと、やっぱりその土地が好きだから。

 「地雷原」を「原発」に変えてもそのまんま通用しそうな感じです。
 お金のことに関しては、引っ越し先での就職が云々などがあるのですが、まあカンボジアほど深刻ではないでしょう。
 大きいのは後者の方。
 好きだと言う事よりも、先祖代々受け継いできている、と言う思いが非常に大きいです。
 幸か不幸か、わたしの家には田んぼがありません(正確には、あるけど自分の家でやってない)。
 なので、この思いは薄いのですが、実際に田畑を持って今も農作業をしている人たちの持つ、土地に対する愛着は相当の物です。
 父が他界して、村の行事に参加するようになって、周囲の人たちのあまりの思いの強さに唖然としたこともあります。
 わたしでさえそうなのですから、恐らく多くの都会と言うか街の人にはこの思いは理解できないでしょう。
 自分で建てた一軒家に対する思いでさえ、到底及ばないほどの深くて強い思いがあります。
 家や家名に対する思い入れは、わたしが「江戸時代か!」とツッコミを入れたくなるほどです。
 わたしが特に驚いたのが、都会に出て年寄りも住んでいないので、と家を売った人がいます。
 その人が村中から、家を捨てるなんて、と白い目で見られていること。先祖が受け継いできた物を捨てたのだから(その人の親も眠る)墓参りをする資格もない、とまで言ってる人がいること。
 さすがのわたしも、ここまで言われるのか、とビックリしました。
 そんな名の知れた家でも、立派な武家の血統でもないのに…と言う人もいるでしょう。
 ですが、自分の先祖であり、ルーツです。
 それこそ、原発どころか電気すらなかった時代から受け継がれてきた家がたくさんあります。
 例え世に知れた家でなくとも、大事にするのは当たり前じゃないかな、と思うのです。人に押しつけるのはどうかと思いますが。
 それを捨てざるを得なかった、福島の人たちの無念や思いはいかほどであろうか、と胸が痛くなります。
 と、同時にそれを守るために原発の仕事の必要なこのおおい町は…
 残念ながら現代において農業だけで食べていける人はわずかです。
 夢わかの繋がりで、農業だけで楽しく仕事し生活している人も知っていますが、同時に常に頭を抱えながらかろうじて生活できてる状態の人も知ってます。やっていけなくて自殺した人も町内にいます。
 家や田んぼを守らなければならない。守るには専業ではやっていけないので、働きにでなければならない。働き先は何かしら原発に関係のあるところ。原発は 事故ったら一瞬で全てを失う。だからといって、原発が無くなれば働く場所が無くなり、結果として土地を捨てざるを得なくなる…
 この悪循環。
 地雷に当たったらしょうがない、と地雷原の近くに住む人たちに似通った部分がある気がします。

・アンコールワットの近くには大きなホテルがたくさん建っているが、経営者はフランス人。
 現地の人たちは雇用という恩恵は受けているが…

 これも原発立地地域と似通った構図ですね。
 儲かっているのは他の地域(国)に住む経営者。
 現地はきらびやかでにぎわってるかも知れないけど、現地の人たちが大もうけしているわけではない。
 でも、雇用という恩恵、にぎわっているおかげで地元の商店の売り上げに繋がるなどで、反対はしない…
 この点はそっくりです。
 国から多大な補助金が入る部分、事故が起こったら広範囲に悪影響がある部分はホテルと原発ではかなり違いますが…
 補助金や原発関連の税金の多くはまずは県に入ってますから、地元の受ける恩恵の質はそんなに違いはないと思います。

こういう問題は世界中で起こってるのでしょう。
先進国でも、発展途上国でも。
自分たちの努力だけではどうしようもない問題を抱えている地域はたくさんあります。
しかし、だからといってその不満や怒りを政府や大企業にだけ向けるのも、おかしな話だと思うのです。
自分たちで解決できる部分、解決しなければならない部分もある。
外からの助けを必要とする部分もある。
それを内外に発信して、交流を広め、深めていく必要があるんでしょうね。
問題を抱えている地域の内と外では、意識が違い、そもそも問題点や論点が違うことも多々あります。
それを解決するには全く主義主張の違う人とも対話していかなければならない。
すぐに解決したい、と思っても、結局はそこから始めなければならない。
歩みは遅いですけどね。
立地町が抱える問題にしても、ブログに怒りをぶちまけた3月頃に比べると理解しようとしてくれてる人は増えた気がしますし。
いまだに福井県内でさえ、立地町(だけ)が金のためだけに原発を動かし、恩恵を受け、考えることを止めている(+嶺北は原発の恩恵を全く受けていない)と思ってる人がいることも確認していますが、まあ、前よりは知ってもらえてるかな、と。

ま、なんにしても自分のできることから、ちょっとずつ、ですね。