気がつけば今年も残すところ2ヶ月となりました。当社は21期の第1四半期が終わりましたがスタッフ達の頑張りのおかげで昨年実績を大きく上回る状況で半期も計画を上回る見通しとなりました。
そんな中個人的に頭を悩ましているのが退職した元社員の振る舞いです。
当社は卸という特性上、仕入先や販売店相互の多くの情報を持っています。当社に限りませんが、こと取引先との支払い条件や商品の仕入価格や販売先への納入価格は完全なる機密情報です。
こと最近は個人情報の保護と共に「機密情報保護」を目的として取引先各社及び当社に所属する社員全員ともそれぞれに書面にて契約を結んでいます。
その機密情報を守る手段のひとつとしての項目で競合阻止という条項があります。
例えば一定の経験や役職の立場の人が当社と同業の会社や個人で独立することは当社が権利として持つ機密情報を転用することになります。
当社の同業だけではなく、当社の取引先に不利益をもたらす行為も結果的に競合阻止に接触しますので役職者などの退職時には所属する職種や担当した取引先との関係性なども考慮して、当契約に接触しないよういくつかの法人を指定してその会社には転職しないようお願いをしています。
もちろん職業選択の自由がありますので権利を奪うことはできませんが、まれにニュースで報道されるような前職の顧客情報や開発情報などを転職先に持ち込んで事件になるようなことにならないよう丁寧に説明したうえで事情を説明しています。
昨年夏に残念ながら役職者の中堅社員が退職しました。上記同様に在職時より諸々の説明を行い、本人からも異業種に転職し自身の経験を高めたいとの説明もありましたのでコロナ禍の最中でしたが快く送り出しました。
その最終日の挨拶の余韻も残る十数日後、本人より転職の挨拶のメールが届くのですが、その転職先は僕が明確に競合阻止として指定していた当社の主要のひとつとなる取引先でした。
そのメールの文面は自身の選択を支持して欲しい旨の一方的な内容で、これには怒りを通り越して呆れる感情だったことを覚えています。おそらく転職まで事前に周到に準備をした上での行動だと今になると思っています。
こういう事態を放置すると当社の取引先との約束も守れない事態になりますので先方にもすぐに抗議しました。当社にとっても長いお付き合いの会社ですので心苦しく本当に悩んだのですが、とにかく穏やかに丁寧に事情を説明し、転職したこと自体は戻せない事実ですのでお互いに不利益の事態にならないようお願いをしました。
その場でも明確な回答をいただいた訳でもなかったのですが当件に関しては一旦心の隅におくことにして一年が経ちました。
事が動くのは数ヶ月前のことですが、その当人が「一年の謹慎期間明け」というなんの拘束も指定もない文言で、よりによって当社の一部窓口の担当や当社のイベントに参加する旨の情報が入りました。
これには呆れよりもどうすればそういう発想になるのか本当に本人の神経を疑うことになりました。
当社においても役職者の退職でしたので組織編成や担当の後任などいろいろ整えて落ち着いた中での出来事に、なぜそこまでして退職した会社にこだわるのか理解ができません。
当社だけではないと思いますが、「業界」というのは思っている以上に狭いもので、おそらく本人にとってはいずれ関わるものだから自分の思い通りになれば他者の気持ちや意向はどうでも良いという事だと思います。
こと僕自身なぜに「スジ」にこだわるかというと自身の転職の経験があるからです。
起業するまでの20代の頃は3回転職をしました。2回目の転職で世話になった会社は退社後に上場したくらいのパソコン業界の中でも大手の会社でした。社員同士も仲が良く、僕も退社後に所属する社員仲間やOBのメンバー達と飲む機会がよくありました。いつかの機会の時に前の会社を思うばかりに酒の勢いにも任せて言いたいことを言っていたのですが、在職する社員から「残っている自分たち社員の気持ちになれ!そんなに言いたい事があるなら退職するな」と一喝された経験があります。
その時からどこの会社にも文化があり、そこに人がいる訳ですので、他社を批判することはやめました。
またそれを機に前職の会社との距離感も考える機会となりお付き合いをしてもらうのであれば、しっかりした道のりを作る上で所属していた時の自身がどのようにみられていたかも踏まえた上でより謙虚に振る舞う必要があることも学びました。
また起業する直前の会社では僕の力不足でその会社の経営に影響するような迷惑をかけたこともありました。
結果、退職後に現在の会社を20年継続することになるのですが、前職の社長には罪滅ぼしのひとつもできないまま、ただその縁で前職の社長の息子は現在の取引先メーカーの社長で友人としても遊び仲間で、またその社長の甥は当社の長年のパートナーの物流会社の社長です。
前出のパソコン業界の会社の社長はカフェレオ設立の時にも大変世話になったのですが、当社がホールディングスにした時には2年間代表を務めていただき現在も当社グループの顧問をお願いしています。
人の付き合いはデリケートで長年かけての信用を重ねなければ関係値というのは築けないと感じています。
僕はパソコン業界から広告代理店を経て雑貨業界から業務を拡げるような形でキャラクターグッズやホビーの業界に籍を置く事に事になりました。
やはり業界は狭く、特に当社のような趣味性が高い業界は、転職しても同業内を転々としたり結果的に独立する方もたくさんいます。
しかし目先だけでの仕事では業界が大きくなりません。
このような話は過去にもあったのですが、結局当社のリソースを持ち出して自身で事業を立ち上げるも数年後に失敗して今は完全に縁が切れた元社員もいました。
だからこそ同様のことを繰り返さずマーケットの発展のためにも、たとえ同業や競合であっても事前に腹を割って話し合い互いに理解ができたうえでの転職や独立であれば、それは僕も周りも応援できる経緯になるのではないかと思うのです。
今回の件は本人から明確な説明も無いので何ひとつ解決していないのですが長年付き合った仲間が事実とは違う言葉を重ねて今もなお中途半端な距離を保とうとしていることが残念でなりません。
一方、同様に他社を退職して当社に相談がくるケースもあります。時に深い付き合いをしていた方もいますが、俯瞰してみた時に本人と所属していた会社の立場を熟考し付き合い方を変えなければならない場合もあります。結果、期待に応えられず不義と見られることもありますがプロセスに関しては冷静に捉えなければならないことも致し方ありません。
かくいう自身も不義理や折り合いが悪い関係があるのも経験の中でたくさんあり、一方的に責めることもできません。
またあくまでも本人の将来の可能性を奪うことをしたくないことも根底であります。
だからこそ頭が痛い出来事ですが、最近は目を疑うような悪質な事件が起こる中で一人の人間が起こす事は思う以上に責任が伴うことも事も認識し当社の社員達にも教えていかなければならないと思っています。