桜もちらほら咲き始めた最中の雪の春分の日の祝日です。
先週から日頃お世話になっている取引先各社の経営者の方々との会食の日々が続いています。
各カテゴリーの第一線で活躍されている多忙な社長ばかりですのでお会いできてゆっくり話が出来る事自体ありがたい時間です。
マーケットを動かす活動を重ねながら会社自体も継続していくことは想像以上にハードで胆力が必要になります。視野も広い方々ばかりですので会話の信憑性が高く自身の言葉を持っているので一つ一つの言葉に説得力があります。
場も暖まってくると大体の流れとして「何か一緒にやろう」という展開になりますが、いつも思う事はそういう人たちは決まって『人たらし』と感じます。
『人たらし』という言葉を使うと何だか人を騙しているような印象がありますが、僕自身は以前から前向きなワードと捉えています。
一般的に経営者というと個性が強い人たちですが『人たらし』に属する人たちは、どんなに飲んでいながらもしっかり相手の目を見て話をします。相手の会話も最後までしっかり聞いた上で話の流れや行間を尊重しながら場を作る役割もしっかり持たれています。
先日の会話の一節の中で面白かったことで「嘘をつかない」というエピソードがあります。日頃、さまざまな人と会っていると誰にどのようなことを話をしたか忘れてしまいます。忘れてしまうことが多いといずれ嘘が露見してしまうので、最初から嘘はつかないということです。こういう発想自体が魅力的だと感じます。
そういう方々は自身が懇意にされている人たちとの出会いの場を作る事も積極的です。決して出し惜しみをするようなことはしません。それはその方自身も「縁」をきっかけに現在があるということを大切にしているからだと思います。時にウマが合わないような場もあるかもしれませんが、人が人をつなげることも楽しんでいるように感じます。
以前、仕事で悩みを多く抱えていたときに、とある取引先の先輩経営者の方から飲みに行く相手を変えなさいとのアドバイスを受けました。仲間内の相手だけに固まってしまうと会話の幅も変わらないということを意味していると思っています。
昔は「飲みニケーション」という言葉もありましたが、今は業務外の時間はできるだけ自身の時間を尊重する傾向です。業務外の時間に飲みながら上司に説教されたり、仲間の愚痴を聞くだけの時間では苦痛の対象かもしれません。少なからず日々の業務も忙しい中で自腹を切ってまで飲みや食事の時間を持つぐらいなら自身の業務をこなしていたほうが生産性があると考える節もあるような気がしています。
自身も17年会社を経営して長年面接にも携わってきましたが、前職までの人の付き合いが希薄の方がほとんどです。もちろん人と接する機会の少ない部署や職種もありますので一概に括る事は乱暴ですが、やはり「縁」を意識している人は魅力を感じます。
僕自身も仕事でさまざまなことがある中で自身でモチベーションを保つ事は本当に難しいことと思っています。そういう時に「人たらし」の方々から刺激や元気をもらう事は飲み代では代えられない大切なものをもらうことも沢山あります。
僕はたまたま社長という立場ゆえにそういうステージの人と会う機会も多いのですが、人の魅力は役職だけでは作られません。むしろ若い世代の人たちほどそういう場を経験する中で、いずれキャリアを重ねて自身の言葉で話をできる立場の仲間が増えれば自然に「人たらし」な魅力を備えていくのではないかと思っています。