エルム・スタッフのアヤネです☆彡
前回、「訳詞図書館/法定訳詞」が15回目を迎えました♪
13・14・15回でご紹介した作品のエピソード編、
ご覧ください( ^ω^ )
◆「愛し児へ」
この作品との出会いは2008年Jacqueline Dannoと共に開催したトリアノン劇場コンサート。観客として来場していたGeorges Chatelainが、終演後のごった返すロビーで出演者の一人に音源と楽譜を「Shujiに渡して!」と預け、日本に帰国後に歌詞を手掛けました。本当は彼の曲に私が詞を書いたもので訳詞ではないのですが、SACEM登録時に彼が自身の詞を書いて届けたので私は訳詞者となりました。
彼は多才な人でレコ―ディング・スタジオも持っていてそこでレコ―ディングしたSimon & Garfunkelに「3フィンガー・ピッキング」の弾き方を指導したそうです。
そしてフォト・グラファーとしても著名で、Johnny Hallyday、Jacqueline Danno、Nino Ferrer等のレコード・ジャケット、そしてそれ以上に風景写真は秀逸。
◆「朝の終着駅」
ジャズ・フィーリングテイストのあるピアノ弾き語りを得意とするMatthieu VERMEULENの作品。彼は工学博士で音楽家としては1997年SACD賞を受賞。
2006年の来日では、千種文化小劇場、宮崎ダイヤモンドホール、六本木スイートベイジル、2010年の再来日では名古屋市民会館、大阪サンケイホール始め秋田、茨城でも公演を行った。
彼の作風は作曲面で多方面の顔を持っている。幽体離脱やインビシブル(透明人間)のようにつかみどころのない部分や、古代エジプトの知恵の神「トト神」にみられるような異国情緒漂うものもある。詞に関しても設計士らしく「釘」や工具が出てきたりする。東京公演会場では、フランスから呼び寄せた妻と子供が客席で一生懸命拍手する姿が微笑ましく印象に残っている。
◆「モンデュー」
言わずとしれたCharles Dumontの代表曲。
数え切れない程、来訪した中で唯一、その人の自宅で直接、伴奏の仕方を教えてくれたのがCharles。
とても優しい人(特に女性には)でパートナーには頭が上がらない様子。私以上に母(加藤ハツ館長)と気が合ったみたいでした。彼の自宅の古い「プレイエル」のショパン・モデルはフランスでも珍しい”お宝”。それを私が弾けたなんて夢のよう。
◆「哀しみの終わり~さぁ!今から~」
日本でも「ワイト・イズ・ワイト」「ロレット軒」等のヒット曲で知られるMichel Delpechの作品。若い頃の想い出との事。
彼のこだわりは主人公が丘の上に居るか、被災地に居るかの違い。「哀しみの終わり」なのか「哀しみの終わりに」なのかも気にしていた。
歌詞に「リンゴ」が出て来るので地理的に東北、そして東日本大震災の津波の事も頭に浮かんだかも知れない。
彼のこだわりゆえに「法定訳詞登録」となったに違いない。
◆「あなたなしで」
文学的な詞と言うより詩人のSonia Perbalの作品。作曲は日仏シャンソン協会フランス代表のJean-Pierre Menager。
Jacqueline Dannoが歌い、岡山加代子さんが創唱。Soniaとはすっかり仲良くなり、メル友になりました。Jacqueline Dannoの晩年、寝たきりでメールや手紙が書けない彼女に代わり、ずっと私に代筆で手紙をくれたり、彼女の言葉を伝え続けてくれました。
最後まで寄り添い励ました彼女は、まさにJacquelineの心友。
この作品は私たち4人を繋ぐ絆です。
◆「BTPフィエスタ」
BTPとは、Batiment et Travaux Publicsの略で、建築・公共事業を指す。Jean-Pierre Menagerが公共事業団体の為に書き下ろした作品で、「フィエスタ」というダンサブルなイメージの単語を軸に作曲をしたとのこと。その後、クライアントから歌詞もつけるように依頼されて出来上がった「BTP FIESTA」を彼が送って来て、「シュウジなら素敵な日本語詞を付けてくれると確信している」との言葉。
日本語詞を再びフランス語に訳してJean-Pierreに渡したらとても気に入ってくれて、すぐさまSACEM(JASRAC)登録となりました。
◆「シレーヌ」
ユニバーサルフランス社長Pascal Negreに寵愛されたフランスの敏腕プロデューサーで、音楽出版社社長のLaurent Balandrasが専属のDelphine Volangeの日本プロモーションの為に芹沢祥子をパートナーに選任。
「シレーヌ」は「サイレン」と「人魚」をかけあわせたもの。この作品が日本でCD録音(Delphineと芹沢のコラボ)されたことにより、フランスへ逆輸入され話題となった。2人はその後も交流を深め、2014年フランス公演の折にDelphineが会場へ駆けつけ舞台上で2ショット写真を撮った。
法定訳詞登録の際、Delphineが芹沢へ送ったメッセージにはこう書かれている。
「ありがとう、美しいショウコセリザワさん。パリのセーヌ川のほとりで創作されたこのシャンソンが、シレーヌそのもののようなショウコさんの魅力的な歌声で日本で響き渡ると言う栄誉に感謝します。ありがとう!」