佑樹のその言葉に、高山はあらためて自分の人生がとてもタイミングに恵まれていることに気づいた。けれど、どうしてこんなにタイミングに恵まれているんだろう?
「ボクも高山さんみたいに、いいタイミングに恵まれるようになりたいなぁ。なにか秘訣ってあるんですか?」
佑樹がそう質問をしてくる。が、特に秘訣なんて考えたことがない。
「どうしてタイミングに恵まれているんだろう?あまり考えたことなかったなぁ」
「あ、もしかしたら、ですけど」
佑樹がなにかひらめいたようだ。
「今のが答かもしれませんね」
「今のって?」
「その、あまり考えたことがないってことです。今、ボクは姉に勧められて経営学の本を読み始めたところなんですけど。その中に『今に集中しなさい』っていう言葉がありました。あまり先のことを考えすぎず、眼の前のことだけに意識を集中させること。これって裏を返すと、あまり考えすぎないってことでもあるのかなって」
そう言われるとそうかもしれない。未来を憂いている時って、いい出会いとかいいタイミングで何かが起きるなんてことは無かった気がする。逆に、今に集中しているときに限っていいことがどんどん起きてくる。高山はそう感じていた。
〜おしらせ〜
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