飯田橋淳。背が高く体つきもガッシリしている。顔もいわゆるしょうゆ顔でスッキリした顔つき。なにより微笑んだ時のみりょくがたまらない。
年齢は27歳。こんな彼がモテないわけがない。
まだ二十代前半の頃、東京に遊びに行ったときに「モデルにならないか」とスカウトの声をかけられたこともある。男性から見てもとても素敵な魅力を放つ若者である。
仕事は旅行代理店で、旅行の企画や添乗員の仕事をしている。たまに中学生や高校生の修学旅行に付き添うこともあるのだが、そのときに女子学生から写真を一緒に撮ってくれと頼まれるのはしょっちゅうであった。
こんなとき淳は笑顔で「いいですよ」と対応する。その爽やかさがさらに評判を呼び、今では彼目当てに旅行を申し込みに来る女性もいるくらいである。
だが、当の本人は悩んでいた。なぜなら、人には言えない性癖を持っているからである。
「ふぅ、今日も疲れました」
「淳ちゃん、なんだか大変ね。そんなに女の子に囲まれるのが疲れるのかしら?」
「まぁね。そもそも女の子に興味がないから。でも塩対応するわけにはいかないからさ。それがボクにとっては苦痛なんだよなぁ。ここが一番落ち着くよ」
「あ〜ら、うれしい!」
〜おしらせ〜
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