喜林の言うことが今ひとつ理解できないまま、柊は社長に淳とのことを報告することになった。
「柊くん、喜林くんから聞いたよ。あらためて君がやろうとしていることを報告してくれないか」
社長室でにこやかに笑いながらそう言う社長。喜林はドキドキしながら、淳とのことを話し始めた。
「実は私、同性愛者なんです。今、年下の男性と付き合っています。今度彼と一緒に暮らそうと考えていまして。この市でも来年度からパートナーシップ制度が導入されると聞いたものですから、早速それに登録しようと思っています」
「そうか、勇気を持って告白してくれてありがとう。私も勇気が出たよ」
「えっ、勇気、ですか?」
「この市が導入しようとしているパートナーシップ制度、実は私はその制定委員会の委員を務めている。君が告白してくれたから私もあえて告白しよう。実は私の息子はトランスジェンダーでね。長年悩んだものだ。けれど今はLGBTと言われる人たちを受け入れてくれる社会になってきた」
社長の告白は柊にとっては衝撃的だった。社長の言葉は続く。
「今は息子は性転換して娘になってしまったが。私は、性マイノリティの人たちが安心して暮らせるようにしたいんだよ」
〜おしらせ〜
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