Cafe Shelly next 第22話 捨てる神、拾う神 その29 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

 喜林の言うことが今ひとつ理解できないまま、柊は社長に淳とのことを報告することになった。

 

「柊くん、喜林くんから聞いたよ。あらためて君がやろうとしていることを報告してくれないか」

 

 社長室でにこやかに笑いながらそう言う社長。喜林はドキドキしながら、淳とのことを話し始めた。

 

「実は私、同性愛者なんです。今、年下の男性と付き合っています。今度彼と一緒に暮らそうと考えていまして。この市でも来年度からパートナーシップ制度が導入されると聞いたものですから、早速それに登録しようと思っています」

 

「そうか、勇気を持って告白してくれてありがとう。私も勇気が出たよ」

 

「えっ、勇気、ですか?」

 

「この市が導入しようとしているパートナーシップ制度、実は私はその制定委員会の委員を務めている。君が告白してくれたから私もあえて告白しよう。実は私の息子はトランスジェンダーでね。長年悩んだものだ。けれど今はLGBTと言われる人たちを受け入れてくれる社会になってきた」

 

 社長の告白は柊にとっては衝撃的だった。社長の言葉は続く。

 

「今は息子は性転換して娘になってしまったが。私は、性マイノリティの人たちが安心して暮らせるようにしたいんだよ」

 

〜おしらせ〜
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