唐沢はそう言いながら大箱の肩をポンと叩いた。
「まぁ、今のあの社長がどうなろうと未練はありません。ただ、先代社長にはお世話になりましたから。あの会社を潰すのは忍びないかなと思っています」
少し複雑な心境になった大箱。
「大箱さん、とてもいい人ですね。オレだったら前の会社がどうなろうと知ったこっちゃないって気がしますけど」
「ま、オレも同じ気持ちで前の会社を辞めちまったからなぁ。といっても、あの会社が潰れるようなことはないだろうけど」
「唐沢さんって、以前はどこにお勤めだったんですか?」
「ん、四星商事。そこで営業やってた」
大箱の質問に、唐沢はあっけらかんと答えた。
「えっ、えっ、四星商事ですかっ!いやぁ、びっくりです。そんな一流企業にお勤めだったとは」
「まぁ、いろいろあってな。それよりも大箱さん、この先どう動こうと思っているんだい?」
「まずは道房さんと一緒に、自分の持っているノウハウを広げて多くの人に役立ててもらおうと思っています」
「それから?」
「それから…」
その先を考えていなかった大箱。だがここで一つのアイデアがひらめいた。
「この技術を継承できる人を育てる。そしてもっと広げていく。これだな」
〜おしらせ〜
Cafe Shelly第1部、全120話のバックナンバーを一気に読むことができます
https://ncode.syosetu.com/s5786f/