カフェ・シェリーは純喫茶のため、モーニング以外での食事の提供は行っていない。二人はマスターにお礼を言って遅めの昼食をとるために店を出ていった。
「マスター、なんだかいい感じでマッチングができましたね」
「そうだね。お互いにできないところを助け合っていくことで、事業を完成させることができそうだ。これはおもしろくなりそうだな」
「それにしても、羽賀さんもホント仕掛け人ですよね。こうなることを見越して唐沢さんにこの件を一任したのかしら?」
「まさか、そこまでは読めていないだろうけど。でも、道房さんの雲をつかむ話が現実のものになったのは確かだからなぁ」
「私もそろそろ、雲をつかむ話を現実のものにしてみたいなぁ」
のりこはちょっと照れた顔をしてそう言ってみた。
「えっ、のりちゃんって何か雲をつかむ話ってあるの?」
マスターはのりこの秘めた願望がなんなのかを知らない。
「まぁ、今のままだとなかなか現実のものになりそうにないなぁ」
「えーっ、なんなの?私が協力できることだったらしてあげるよ」
「うーん、たしかにマスターの協力は必要だけど、無理に協力してもらうものでもないからなぁ」
そう言ってニコリと笑うのりこであった。
<第18話 完>
〜おしらせ〜
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