Cafe Shelly next 第17話 仕事ができない人 その14 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「営業だったら外回りの時間って作れませんか?」

 

「あ、はい。ある程度は時間をつくることはできますけど」

 

「では、この前お会いした喫茶店、カフェ・シェリーで待ち合わせしませんか?」

 

「いいですよ。私も早く羽賀さんにこのことをきちんと相談したいですから」

 

「それなら、今日の夕方か明日の午前中はいかがでしょうか?」

 

「今日は今の仕事をきちんとやりあげたいので、明日の午前中に時間を作ります。あの喫茶店、十時くらいでも開いていますかね?」

 

「あそこはモーニングをやっているので、朝七時からやっていますよ。大丈夫です。では明日の十時にカフェ・シェリーで」

 

「よろしくおねがいします」

 

 これでなんとかなりそうだ。安西は電話を切ったあと、安堵の表情を浮かべた。おかげでこの後の仕様書のチェックの仕事は予想以上にはかどった。さらに先方の仕様書のミスも見つけることができ、技術部と客先に連絡を入れて事なきを得たということもできた。

 

 そして翌日、道房は朝礼の後すぐに営業に出かけた。このとき、安西の方を見て「わかってるな」という表情を浮かべた。安西も道房のその表情を見てコクリとうなずく。これからが勝負だ、と安西は心のなかで誓った。

 

〜おしらせ〜
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