フリーのジャーナリストと聞いて、妃美子のマスターへの興味は更に強くなってきた。
「それで、どんなことがあったのですか?」
「はい、私は仕事でいろいろな知識を得ることが多くて。といっても、浅く広くという感じです。なので、知人と会話をすると『それ、知ってる。こういうことだろう』と、知人が話すよりも先に自分の知識をひけらかすことがありました」
「まさに綺咲と同じです。綺咲はそれを頻繁にやってしまうんです。そのせいでこっちが言いたいことが中断されてしまって、結局消化不良になってしまうんです。どうして人の話を最後まで聞かないんだろうって、いつも思うんですよ」
ここでマスターはフフッと意地悪な笑いをした。が、妃美子はその表情に気づかないまま、話を続けた。
「綺咲の場合、自分が持っている知識がさも正しいって感じで話すんですよね。でも、たまに間違っているときもあって。前にそれを指摘したら、すごく怒り出しちゃって。そんなことはないって、反論してくるんですよ。ホント、どう扱っていいのか困ってしまいます」
妃美子の話が一段落したところで、マスターがこんなことを言ってきた。
「妃美子さん、今私にマウントをとりましたね」
〜おしらせ〜
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