「では、どうして綺咲さんは私のほうが上だっていうマウントを取りたがるんでしょうね?」
「どうしてって、それが綺咲の性格だから、じゃないですか?」
「どうしてそんな性格になったのだと思いますか?」
「うぅん、人よりも優秀でいたい、周りに負けたくない。負けず嫌いだから。そんなところかな?」
「妃美子さんは負けず嫌いではないですか?」
「私?そう言われると、私も負けず嫌いなところはありますよ。コーヒーの資格をとったのも、周りの人よりは上でいたいっていう気持ちが少なからずあったから」
「じゃぁ、妃美子さんもマウントをとるようなこと、ありますか?」
「私ですか?さすがに綺咲ほどじゃないけれど、ひょっとしたら知らずしらずのうちにそうしているときもあるかもしれませんね。マスターは人にマウントをとるような気持ちになったこと、ないんですか?」
「そうですね。今のこの仕事を始める前までは、そんな気持ちになったことはたくさんありました」
「マスター、前はどんなお仕事されていたんですか?」
「はい、私はフリーのジャーナリストをしていました。出版社から依頼をされて原稿を書いたり、こちらが独自で取材したものを出版社に売りこんだり」
〜おしらせ〜
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