Cafe Shelly next 第7話 鬼と金棒 その30 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

 信一はマスターの言葉に「なるほど」と納得した。

 

「自分の能力をさらに引き出すアイテム、これが金棒だ。信一、そのために俺はお前の金棒になってやる。だから自信を持ってしごとをやってみろ!」

 

「はい、わかりました」

 

 その後、信一は自分の態度をあらためて設計の仕事に取り組んだ。かつてデザインコンクールで受賞した経歴を活かして、いままでにない奇抜なアイデアを取り入れたビルを設計してみせた。

 

 このアイデアが取り入れられ、実際にできたビルは高評価を得た。さらには、景観がすばらしいということで賞までいただくことになった。

 

 あれよあれよという間に、信一の名前は業界内に広がることとなった。かつての信一だったら、ここで有頂天になり人を見下していたことだろう。けれど今は違う。

 

「マスター、シェリー・ブレンドをお願いします」

 

「かしこまりました」

 

 すっかりカフェ・シェリーの常連となり、自分自身のあるべき姿、取り組むべき行動を逐一確認している。そのおかげで、設計事務所でも友永と信一のダブルエースで業績を上げられるようになっていた。

 

「鬼に金棒、本当の意味でそれを得ることができたな」

 

 友永は信一の姿を見て、しみじみそう思うのであった。

 

<第7話 完>

 

〜おしらせ〜
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