「はい、社長がどのような答えをコーヒーから得たのか、それを聞きたくてうずうずしていました」
「そうしたら、その答えを欲しくなるだろう?これを使うんだよ」
社長は興奮してそう言うが、友永にはまだ社長の意図が伝わらずにいた。けれどここでのりこがこんなことを言ってきた。
「つまり、相手を焦らすってことですね」
「そう、そのとおり!」
「焦らす?それはわかるんですけど、設計の仕事とどうつながるんですか?」
「友永くんは仕事が早いから、頼まれたことをいつも期日前には仕上げてくれるだろう。でも、他の連中はそうはいかない。期日ギリギリになってしまう。でも、よく考えたらそれでいいんだよ。むしろ、お客さんを少し待たせるくらいに設定しておくほうが、こちらの価値も上がるものだよ」
この社長の意見に対して、友永はちょっと考え込んだ。
「そうでしょうか?俺はお客さんに対してはできるだけ早く納品したほうが価値が上がると思っているんですが」
「確かにそのとおりだ。だからね、これからは期日を少し延ばした締切を提案するんだよ。そうすると相手には焦らしの効果が出る。そのうえで締め切り前に納品をしたらどう思われるかな?」
「それならいいかも」
〜おしらせ〜
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