「社長さん、こういうときにこそぜひシェリー・ブレンドを飲んでみてください」
「おぉ、そうだったな。このコーヒーは今欲しいものの味がするんだったよな。つまり、私が今悩んでいることの答えが見えてくる。そういうことか」
そう言うと、社長は早速カップに手を伸ばした。そして目をつぶって何かを確認するように黙り込んだ。その様子を友永とのりこはじっと見守る。
すると、社長は突然目をカッと見開いて笑顔になった。
「社長、何かわかりましたか?」
友永の質問に、社長は笑顔でこう答えた。
「このコーヒーはすごいね。そうか、なるほど、そうすればいいのか」
社長は少しもったいぶった態度で答える。友永は社長の言葉を待ちに待った。
「友永くん、どんな答えが見えてきたと思う?」
「いやぁ、さすがにわからないですよ。早く教えて下さい」
「そう焦るな。人生、焦ると良くないぞ」
社長、ちょっと意地悪な感じで友永にそう言う。さすがの友永もそろそろ限界のようだ。それを感じたのか、社長はさらにニコッと笑ってこんな言葉を友永に伝えた。
「今のが私が見えた答えだよ」
「今のがって、どういうことですか?」
「友永くん、私の答えを期待して待っていただろう?」
〜おしらせ〜
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