友永は社長の反応をじっと待った。すると社長、最初は驚きの表情を浮かべていたが、これが次第に変化して納得という感じに変わった。この時点でのりこが言葉を発した。
「お味はいかがでしたか?」
すると社長、のりこの方を向いてニコリと笑ってこんな答えを返した。
「いや、びっくりだね。コーヒーの味ってこんなふうに変化するものなんだね。はじめての体験だよ」
「どんなふうに変化したのですか?」
友永が待ってましたとばかりに社長に尋ねた。
「最初にガツンといった苦さを感じたんだ。けれど、その苦さが次第に甘さに変わっていってね。このときに思ったんだよ。信一に対してもっとガツンと厳しく対応しないといけない。もっと社会の厳しさを教えないといけない。けれど、これこそが本当の愛情だって。スマン、今まで私は信一を甘やかしすぎたようだ」
「いえいえ、謝らないでください。社長もお忙しい方だから、信一くんに対して目を向ける時間がなかっただけです」
よし、という手応えを友永は感じていた。こちらの思惑通りだ。
「そこで俺から一つ社長に提案があるんですけど」
「提案、なんだね?」
「これから信一くんを俺が一から指導しなおしてもいいでしょうか?」
〜おしらせ〜
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