「ありがとうございます。社長、ここのコーヒーは変わった味がするんですよ。なにしろ魔法がかかっていますからね」
「魔法?なんだね、それは」
「そこは味わってからのお楽しみです。その前にちょっとご相談したいことがあるのですが」
「信一のことだろう。わかっている。あいつは何か勘違いをしているようだな」
「お察しのとおりです。大変失礼とは思いますが、信一くんは社長の甥であることを盾に、自分が偉いんだと錯覚されているようで」
「そのことは私の耳にも入っている。でも、どうして君たちはもっと厳しく信一に指導をしないのだ?私としてはそっちのほうが疑問なのだが」
「もっと厳しくしたいのはやまやまなのですけど。その時間が無いというのも現実でして」
「まぁ、友永くんについてはわからなくはない。なにしろ我社のエースであり、設計事務所としての要の人物だからな。君に信一の指導をしてくれとは思っていない。課長や部長がやるべきだと思うのだが」
「その課長や部長が、信一くんが振りかざしている『社長の甥』という権力に対して恐れているみたいなんですよ」
「うぅむ、これは困ったことだな。早急になんとかせねば」
社長は腕組みをして考え始めた。
〜おしらせ〜
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