Cafe Shelly next 第5話 貯金はいかほど? その23 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「私のためにこんなことしてくれたのね。ありがとう」

 

 さゆりさんの行為、親切の押し売りなんかじゃない。本当に私のことを思ってやってくれたことなんだから。このとき、さゆりさんに対しての信頼貯金がグンと増えたことを感じた。

 

「すぐには変われないかもしれないけれど、私がんばる。みんなからの信頼を得られるように、これからはきちんと人の話を聴いたり、私ができることを率先してやったりしてみる。そして自分にできないことは人にお願いもしてみる」

 

「さくらさん、それでいいのよ。ぜひやってみて」

 

「ありがとう。なんだか気持ちがスッキリした。店員さんも忙しい中、こんな私につきあってくれてありがとう」

 

「いいえ、私も勉強になりました。むしろさくらさんに感謝したいくらいです」

 

 こういうさりげない言葉が信頼貯金を増やしていくんだ。私もこんなふうになりたいな。ここでまた、頭にふと浮かんだことが口から先に出てきた。

 

「じゃぁ、これから私、この喫茶店に通うようにするわ。今日は一口しか飲んでなかったけど、次からはシェリー・ブレンドを飲んで自分が欲しがっている答えに気づくようにしてみる。そうしたら、私も前に進みやすくなるかもしれない」

 

〜おしらせ〜
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