Cafe Shelly next 第5話 貯金はいかほど? その22 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「私、今まで良かれと思ってやっていた…」

 

 これには思い当たることがある。私は趣味でパッチワークをやっている。その教室にも通っているのだけれど、周りの人たちの技術レベルはそれほど高くない。私は長年やっているので、先生に変わって教室の初心者に教えることもある。

 

 けれど、それは相手から教えて欲しいと言われてのことではなく、私が相手の技術を見て

 

「違う違う、そこはこうじゃないの。こうするといいのよ」

と勝手に教えているだけのこと。これこそ親切の押し売りであり、相手の言葉を聞かずに行っていることだ。相手が欲しがってもいないことをこちがら押し付けるのは、信頼貯金を失うことになる。

 

「さくらさん、落ち込まないで。さくらさんはいろんなことに対して自信を持っている人だから。そういう人だからこそ、こういった落とし穴にはまっちゃうのよ。今日はそのことを伝えたくてここに誘ったの」

 

「さゆりさん、ありがとう」

 

「それこそ、私の親切の押し売りかもしれないけれど。でもね、前にここに来てシェリー・ブレンドを飲んだ時に、こうしなきゃって気づいたの。さくらさんを孤独にしないためにもね」

 

 さゆりさんの言葉と想いに胸が熱くなった。

 

〜おしらせ〜
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