Cafe Shelly next 第5話 貯金はいかほど? その20 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「頼られるって、とてもうれしいことなんです。だって、私の実力がその分野では認められたってことですから。だから、がぜん張り切っちゃうんですよ」

 

 店員さんはにこやかにそう答えてくれた。確かに言われたとおり、私の得意とする分野で頼られると、やりすぎるくらいやってあげようって気持ちになるな。

 

「さくらさんって、お料理が得意だったよね」

 

「うん、特に和風のものが得意なの。出汁をしっかりととって味付けするのよ。私が特に得意としているのは、出汁巻きの卵焼きかな。知り合いにお寿司屋さんで働いている人がいて、その人から直々に教わったの」

 

 あ、ついでしゃばってしまった。さゆりさんは愛想笑いをしている。が、店員さんは違った。

 

「ぜひぜひ、それ食べさせて下さい。私、そういうの苦手なんです。作り方も教えて下さいね」

 

 そう言われると、なんだかとてもうれしい。うれしくなって、早速やってみようという気持ちになる。

 

「あ、これが頼られるってことなんだ」

 

 つい言葉が口から出てしまった。頼られるとその人のためにやってあげようという気持ちになる。ここでその人のために自分ができることをやってあげると、私の信頼貯金が増えるってことになるのかな。

 

〜おしらせ〜
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