第118話 父と子と その24 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「あなた、あの人が会ってくれるって。もうそこにいるわ」

 

 元妻がロビーの奥に坐っている人物を指差す。

 

「やけに早かったな」

 

「本当ならこの後、彼とヒロトと一緒に食事をする予定だったから。でも、まさかこんなにヒロトが反抗をするだなんて」

 

 彼女に確認をしなければいけない。本当にヒロトをいらないと言ったのかを。けれど、ストレートに聞けるものではない。どうやって探りを入れようか。

 

 ともあれ、例の彼に会って、ヒロトのことを確認せねば。元妻の誘導で、彼氏を紹介してもらう。

 

「こちらが元旦那。そしてこちらが今お付き合いしている方」

 

 今の彼を見てみる。見た感じは誠実そうである。だが、笑顔がない。ふとあの喫茶店の彼のことを思い出した。あの彼は笑顔が素敵だったな。あんな人だったらヒロトをまかせられるのだが。目の前の彼は、緊張からなのか、それとももともとの性格なのか、なんだか明るさを感じられない。

 

「単刀直入にお聞きします。あなたは彼女と結婚をしたら、ヒロトを自分の息子として育てていくだけの自信がおありですか?」

 

 少し間をおいて、彼はこう答えた。

 

「ヒロトくん、私になついてくれないんですよ。ヒロトくんはどうしてあなたがいいって」