第118話 父と子と その22 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「ヒロト、どうしてパパじゃないとダメなんだ?新しいパパはイヤなのか?」

 

「だって、ボクにとってパパはパパだけだもん。他にパパなんていらない。ボク、パパと一緒にいたい」

 

 これはヒロトの本音なのは間違いない。けれど、私にヒロトを育てる権利はない。実際にヒロトを迎え入れても、仕事ばかりでそれどころじゃないのも事実だし。

 

「ヒロト、わがまま言うんじゃありません。あなたからも何か言ってあげて下さい」

 

 自分の幸せのためにヒロトの思いを犠牲にするのか。元妻は自分のことしか考えていない。そう感じた。

 

 そこで、思い切ってこんな提案をしてみた。

 

「君が再婚しようとしている相手。その人に会わせてくれないか」

 

「えっ、どうしてよ?あなたには関係のないことでしょ」

 

「確かに、君とその人の間に対することは関係ない。しかし、ヒロトとその人となると話しは別だ。本当にその人にヒロトを育ててくれる意思があるのか。それを自分の目で確かめたいんだ」

 

「そんなこと言われても…もし、あなたがダメだって判断したら、私はどうなるのよ?再婚できないってこと?」

 

「君の再婚を邪魔するつもりはない。その時はそのときで考えよう。とにかく会わせてくれないか?」